第三企画部 大川課長
「どうですか?関東は?北海道とは全然違うでしょう?
電車が無数に走ってて、数分おきに来ますからね。」
「・・・柊ちゃん、馬鹿にしてる北海道を?」
「全然、馬鹿に何ってしてませんよ。
ちょっとした移動に車が必需品なくらいでしょう?」
「・・・先に言っておくけどな、北海道はどんな田舎でも一時間も車で走れば
イトーヨーカドーみたいなスーパーにはたどり着くんだからな!」
「・・・時速何キロでですか?」
「・・・北海道民はおおらかな性格だから、速度なんて気にしないぞ!」
「ちなみに大川さんの北海道の実家って近くにイトーヨーカドーありましたよね?
前に一緒にgoogle mapで見た時にマークを見かけましたけど・・・
どのくらいの距離ですか?」
「だから、一時間だって!」
「車で?」
「車で!」
「何キロくらいありました?歩いていけましたっけ?」
「ちょっと歩くのは無理かな・・・100キロくらいあったし・・・。」
「・・・一時間?」
「一時間・・・。」
・・・柊さんと企画部の課長である大川さんの話が
おかしい気がするのは私だけだろうか?
ええっと・・・
「一般道ですよね?」
「一般道ですけど?」
何か問題でも?みたいな顔で私の質問に回答してくるんですけど大川課長・・・
私がどうやらおかしいようです・・・
もうこれ以上は疑問を呈さないようにします・・・
その後は村中部長を交えて真面目な・・・
本当にまじめな話をしてちょっと私は驚いたのですが・・・話をしました。
「・・・まあ、確かにうちの企画部なら扱えると思います。」
大川さんが何か言い難そうにしながらも答えてくれる。
「まあ、やりたくないですよね。」
柊さんの言葉に、大川課長は苦笑しながらもうなづく。
「当然、企画としては数字を求められますからね。
新しいことをするのもいいですけど、我々としては数字が欲しい所ですね。
この製品でいくらくらいの売り上げがあげられるのか?
利益としてどのくらいあげられるのか?
そもそも市場としてどのくらいあるのか?
っていう、根拠がないとなかなか企画としてあげれないですよ。」
「上を説得することが難しいですか?」
渋い顔をしながら柊さんの言葉にうなづく大川課長。
「まあ、唯一救いなのは、我々第三企画部は取締役直轄の部署になっていることですかね。
町田取締役が上だから、この有機ELに関しては好意的に観てくれるでしょう。
今の企画の部長だとそんなわけにはいかなかったでしょうけどね。」
苦笑しながら答える大川部長。
どうやらあの企画部の部長はなかなか問題がある人物なんだろうな・・・・
「とりあえず我々第三企画部は半年間は自由に動けます。」
「そうなんですか?」
「ええ、その間にどの商材を選ぶかを決めていけばいいので。
だから、その商材の1つの候補にはさせてもらいます。」
「ありがとうございます!」
「ちょっと待って、柊参事。一応言っておくけど、候補だからね!」
「ありがとうございます!」
「・・・そういって、なし崩しで商材にしようとしているだろう?」
「飲みに行きます?大川課長が好きそうな店知ってますよ!」
「どこの営業だよ!」
大川課長が笑いながら、柊さんのノリに応える。
「まあ、ちょっと柊参事の力を借りながら市場調査をしようかね。」
「ええ、了解です。何なりと言ってください。」
「うん、この市場は柊参事の方がくわしいだろうからね。」
その後、握手を交わして話がどうやらまとまったようだ。
良かった・・・どうやら第三企画部が私達の受け皿になってくれるようだ。
まだ私は仕事の余韻に浸っていたのだが、
すぐに柊さんと大川課長は、
「あそこの店に行きましょうよ。」
「いいね!テレビで観てたからね~。
絶対に関東にきたら行ってみたいと思ってたんだよ。」
すでに仕事モードは終了していたようで・・・
嬉しそうに話す2人・・・
2人が行っているのは女の子の店員さんがみんな半袖半ズボンの浴衣を着て接客する
宮崎の地鶏をメインにした居酒屋だ・・・
男って・・・
本当にいやらしい・・・
ジト目でみる私の目に気づいたのだろう。
2人が慌てて、
「いやいや、違うんだよ井口さん!僕はね、北海道にはないお店だから行きたいんだよ!
いや~、宮崎地鶏・・・美味しそうだな~。」
「そうそう!同じ九州から来た身だからさ!
九州の味が懐かしいじゃん!」
「・・・柊さん、まだ九州から来て一カ月も経ってないですけど?」
「・・・目が厳しいっす・・・。いや、決して邪な気持ちで・・・。」
私と目を合わせることなく横を向く柊さん。
「ま、まあ、今日は我々第三企画部と技術部の交流を深めるってことで、
どう?井口さんも一緒に!今日は若人達にご馳走してあげるよ~。」
「・・・行きます・・・。」
村中部長と田口さんはいけなかったのだが、
私と大川課長、柊さんで居酒屋へと行くのであった・・・。
次話は8時に更新予定です。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




