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企画部

「関東事業所の製品の社内申請の仕方は、絶賛初体験中です。」


「だよねー、俺も初体験だよ・・・。」


今日は朝から週一のミーティングをしている。


それぞれの一週間何をやってきたのか、課題は何だったのかを報告し、

次の一週間で何を取り組むのかを確認する。


村中部長、柊さん、田口さん、野々宮さん、私の五人で行っていて、

人数が少ないので基本的にはみんなが何をやっているのかをみんなで把握していた。


今日のミーティング時に確認として、関東事業所で製品開発を行っていた田口さんに

関東事業所での製品の社内申請を聞いていたのである。


当然、私は研究所所属であったため、今まで一度も製品化をしたことがない。


・・・柊さんも同じ研究所所属だったはずなのに、経験しているのが不思議なんだけど・・・


柊さん達が体験したことがないって言っているのは、

どうやら柊さんのいた九州事業所、村中部長がいた半導体事業部では、

製品担当者が製品を作りますと声を出して進めていくとのことだが、

関東事業所では製品開発者にはその権限がなく、企画部の人間が立案していくのだ。


それなら企画部の人間に立ち上げて貰えばいいのでは?というのだが、

そうはいかずに現在、柊さんと村中部長が頭を悩ませているのであった。



「・・・ここで、悩んでいても仕方ないですし、

 企画部に直接行って相談してみますか?」


「誰か知り合いいる?」


「こういう時に強い味方の村中部長っていう方がいます。」


「・・・いい根性してるんじゃんかよ・・・。

 ・・・はぁ~、仕方ない、会ったことないけど、

 企画部の部長に話てみるか。」


そう言って、ミーティングが終わった後、

村中部長が企画部へと電話をする。



「そこを何とかお願いしますよ~。」


電話越しにお願いする村中部長。

結構交渉が難航しているようで、ものすっごく下手にでてるな・・・



「田口、関東事業所の企画部ってどんな人達なの?」


柊さんが田口さんに尋ねると、



「ものすっごく・・・


 傲慢!


 上から目線でガンガン喋ってくる奴ら。」


「もしかして・・・嫌い?」


「大嫌い!

 あいつらと関わらなくていいなら、絶対関わらないね。」


「・・・そんなに?」


「そんなにだよ!

 話したら分かるけど、何様!?って感じるよ!」


そんな話をしていると村中部長の電話が終わったようで、



「今すぐ、企画部の所に行くよー。

 今からなら話を聞いてくれるってさ。」


「今からですか!?とりあえず説明用の資料と実際の有機ELを用意して・・・。」


慌てて、柊さんがパソコンと九州事業所で作っている有機ELを手に取って、

企画部へと向かうのであった。




「わざわざ、すいませんね。」


村中部長の言葉に、企画部の部長は、



「うちの部下が話を聞きますので、あちらの打ち合わせスペースを使ってください。」


そういって、顎で打ち合わせスペースの方をさして、

企画部の課長に話を聞くように命じるのだが、



「端的にお願いしますね。我々企画部は、忙しいので。

 説明は1分で、質疑応答は4分、合わせて5分ですべて終わらせてください。」


それだけ言って、またパソコンへと視線を向けたのであった。

その態度を見た柊さんが、



「・・・ないわ・・・。」


ぼそっと言いながら、笑顔で企画部のみなさんに声をかけて

打ち合わせスペースへと向かう。

村中部長も同じように笑顔で声をかけていく。


企画部の方々は大きなため息をつきながら、

それはそれは、もう本当に私達にわざときかせるような

大きなため息をつきながら打ち合わせスペースにいく。


打ち合わせスペースなので、席の数も満足にないため

企画部の面々が座るとすぐに席はなくなって、



「技術部の皆さんは普段から汗水たらして立ってるんだから、

 立つのには慣れてるでしょう。」


そんなことを言ってくる始末であった。


ただ、村中部長には丁寧に肘置きつきのイスをあてがっていたのが、

あまりに滑稽であったけど・・・


やっぱり役職者にはキッチリとこびへつらうんかい!!



「それでは説明をさせていただきます。」


全然集中して聞く気もない連中に対して、柊さんは要点をだけを説明していく。


実際に実物を用意して、説明していき、分かり易い・・・はずなのだが・・・



「はい、30秒経過~、あと30秒。」


・・・秒読みをする企画部課長!

それをニタニタしながら聞く企画部の面々。


その後も説明をしていくのだが、時計しか観ていない連中。



「実際モノを用意してるんで触ってみてください。」


す・・すごいな~、本当に1分で説明したし!!

柊さんが1分で説明をし終えて、モノを皆さんの前に差し出すのだが・・・


「あと5、4、3、2、1・・はい、終了~!」


律義に1分を数えていた企画部課長、次に発した言葉は、



「我々からは何も質問はありません。ので、これで終わりですね。」


そういって、立ち上がったのであった。

しかも・・・



「こんな遊んでいられる何って、技術部はお暇でいいですね~。」


「・・・次の光源の開発は必要ですからね。」


そんな捨て台詞まで吐いてくるのである!!

柊さんが笑顔で応える中、はん!っと鼻で笑ったかと思うと、



「我々はそんな遊んでいる時間何って1分もないんですからね~、

 いや~うらやましいですよ~、ほんと。

 なぁ!みんな、忙しくてたいへんだよな~?」


その言葉に同意していく企画部の面々、

更にはこちらに心ないことばをかけてくる連中すらいる。



「ほんっと技術部って何考えてんだか?」


「暇なら人をこっちに寄こせっていうんだけよね~。」


そんなことをいう連中である。極めつけには、



「技術部はさ・・・


 俺達企画部のいうことを聞いてればいいんだよ!


 カタログに載っている商品を黙って作ってればいいんだよ!!」


こんな罵声を浴びせてくるのであった。



「それで、どうすれば企画に上げてもらえますか?」


そんな罵倒されている中でも、しっかりと尋ねる柊さん。



「はぁ~?聴いてなかったのかよ?

 お前たちの意見なんか俺達が聞く分けないだろうが!!

 とっとと、てめえらの事務所に戻って、

 俺達が上げてる企画にそった製品を作とけよ!」


柊さんと共にその場を立ち去ることしかできなかった私達・・・

本当に頭に来る連中だ!!!


次話は本日19時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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