新卒採用の真実・・・
「コーヒーありがとうございます。それとこちらお礼です。」
そう言って、私の席にインスタントコーヒーの瓶と共に
お菓子を持ってきてくれたのだが、
「あ!?これ私の地元のお菓子です!!」
「え?そうなの!?じゃあ、僕と地元が一緒ってことですか?」
「え?地元なんですか!?」
よくよく話してみるとどうやら地元が同じ県の人らしい。
それにこの人の出身高校って・・・
「今度の春の選抜野球にでますよね?」
「あ、よく知ってますね!出るんですよ~。」
ハニカミながら私の質問に答えてくれる。
何か、ほっとする笑みを浮かべる人だ。
「応援行くんですか?」
「いや~、今のところは・・・。うまく休みが取れれば行きたいですけどね。」
そんな話をしている中で、私は思い切ったことを聞いてみる。
「あの・・・。」
「はい?」
「さっきの新卒採用面接のリストなんですけど・・・。」
「どうしました?」
「気になる点が・・・。」
「?何が?」
すごすごとリストが置いてあるところまで行って、
「・・・教えて貰えないならいいんですが、まだ一次面接の段階ですよね?」
「うん。」
「・・・どうして点数がすでについてるんですか?」
先ほどチラリと見た時に気づいていた疑問。
この時期であればまだ一次面接が行われている時期である。
そのため今時点は、書類選考の段階と思われるのだが、
すでに履歴書には点数が付けられたいたのを私は見ていたいのだ・・・
「・・・う~ん・・・。」
ちょっと困ったような顔をしていたが、
「まあ、いいでしょう。
ハッキリ言って、この写真の段階で点数が付けられてるんですよ。」
「え!?」
「見た目の判定がこの点数ってことです。」
「・・・。」
実は想像はしていたのだが・・・ハッキリとそう言われると言葉を失ってしまう。
見た目なんだ・・・
「まあ、うちの会社の営業の女性ってみんな美人だと思いません?」
そう言われて自分の同期で、営業に所属している子達を思い出す。
みんなあか抜けていて、おしゃれな格好をしていて、見た目もみんな艶やかなのである・・・。
私も関東にくれば、あんな風になるのかな?
っと思ったくらいだ。
同性から見ても美人だと思えるレベルである。
「思ってました・・・。
見た目で判断されていたんですね・・・。」
「まあ、残酷だけど・・・。」
「ちなみに男性は?」
「当然、見た目で好印象を受ける子が前提。
だから、写真写りの段階ですでに点数がつけられてるんだよ。
まあ、だけど面接時に実物を見て点数の加点はあるんだけどね。
ただ、この撮ってある写真ですでに何人かは書類選考で落ちてるはずなんだよね・・・。
写真写りの悪い子もいると思うのに残念だよ。」
「・・・。」
「あとは男女共通なのは、無個性でイエスマンタイプを選ぶように言われてるね。」
「そ、そうなんですか・・・。」
「うちの新人の営業って、みんな金太郎飴みたいじゃない?」
「・・・。」
私の同期を思い出してみると、確かに、個性は少なく、
みんなスーツを着たら同じように見えてしまう・・・。
「あとは技術側の採用は、技術部から採用の面接官に来る人の好みが多分に入るよ。」
「え!?そんな好みって・・・。」
その発言に驚いてしまう。
好みで採用が決まってしまうなんって・・・
「まあ、うちの会社だと“官僚の南日本電機”って揶揄されているように
波風立てない人間が前提条件で、その中できっちりと受け答えできるか、
こっちの意図をしっかりと読めるかを見極めるのが試験官に言われてることだよ。
まあ、これはだいたい大手の企業では一緒だけどね。」
「そうだったんですね・・・・。」
「あとはそこからプラスアルファで試験官の好みで選ぶんだよ。」
「・・・好み・・・ですか・・・。」
「イヤそうな顔をするけど、想像しているように顔で選ぶ試験官もいるし、
素直そうなタイプを選ぶ試験官もいる。
あとは・・・面白そうな子を選ぶ試験官もいるよ。」
「・・・どんなタイプを選ばれるつもりですか?」
「え?俺?面白そうな子を選ぶつもりです。」
そう言って笑いながらパソコンの画面に映しだされた学生を指さす。
私はそのパソコンを見ると・・・
「・・・金髪ですか?」
「そう。それとピアスもしてるしね。」
「・・・これは悪ふざけが過ぎません?」
「だよね。この子は教授推薦だから面接受けれるけど、
無かったら、間違いなく書類選考で落とされてるますよ。
ハッキリと言って大手企業に入りたいのなら、金髪なんてもってのほかで、
茶髪もNGだね。
『社会人としての空気が読めない』ってレッテルが貼られるだけだよ。
黒髪にしとけば、とりあえずいいのに・・・。茶髪でも上の下くらいの容姿があれば、
減点で一応書類選考は受かるよ。」
「・・・そんな子を押すんですか?」
「大丈夫ですって。俺が押してもこの子は絶対に落ちるから。」
「・・・落ちることは確定しているんですか?」
「当然。この子は個性ってのを勘違いしてるからね。
そんな子を入社させて、わざわざ一から指導・教育するのは面倒でしょう。」
「・・・。」
「って、人事から言われてるんですよ。
だから、基本的にはみんなそれに従って選んでいきます。」
「・・・何か、マニュアル通りに採用ってするんですね。」
「まあ、会社としては言うことを素直に聞いてくれる人の方がいいですからね。」
「そうでしょうけど・・・。」
「まあまあ、容姿についてはそんなもので・・・。
あとは・・・そう言えば、学歴フィルターもあるはずですよ。うちの会社。」
「・・・やっぱりあるんですか・・・うちの会社でも。」
「当然。だって、ここにある大学ってだいたい偏差値が55以上の大学ですよ。
まあ、だけど地頭力って勉強じゃないと思うんですけどね。」
「それ・・・私も思います。
はぁ~・・・やっぱりあったんだ・・・。」
「そんなにショック?」
「そりゃ~そうでじゃないですか!
もっと門戸を開いてほしかったですよ・・・。」
「まあ、冷やかしを断るためでもあるしね。」
「それはそうですけど・・・。」
ブルブルブル
私達が話している時に、机の上に置かれていたスマホが鳴りだしのたで、
ここで私達の会話は終わり、私は自分の机へと戻ったのであった。
あの人はスマホで話しながらパソコンを操作していた。
・・・
結局、あの人って何歳だったんだろうか?
お互いが敬語を使って話をしていたため
たぶん、お互いが同年代なんだろうなって思ったんだろう。
っというか、採用面接の試験官なんって入社1、2年目の社員が絶対行わないよな~・・・
ってことは、もしかして私よりも年上ってこと!?
ハッとして私はそちらを見るのだが・・・
う~ん・・・年上には見えないな・・・
次話は9時に更新予定です。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。