居酒屋での反省会 ~2~
「今日の会議って本当に意味ないですよね・・・。」
「そんなことはないよ。十分に成果があったよ。」
「どこがですか!!!
説明をこっちがしても全然聞いてなかったし、
技術部の部長なんて寝てましたからね!!
技術の話をしているのに、寝るなんて本当にありえないですから!
お前が聞かずに誰が聞くんだよって!!」
「寝てたね~、気持ちよさそうに。」
「ええ!!ホント、顔面を殴ってやろうかと思いましたよ!」
「良かったよ・・・暴力事件が発生しなくてさ。
さすがにそればかりは庇いきれないかな~。」
「・・・そこは大人なんで我慢しました・・・。」
「えらいえらい。」
そう言って私の頭を撫でてくれる柊さん・・・
くぅ~・・・完全に子供扱いされてるし!!
「・・・で、柊さんにとってはどこが有意義だったんですか?」
「まずは有機ELをやりますよってことを
関東事業所の主要メンバーに知ってもらえたじゃん。」
「・・・。」
「それに一応説明はしたんだから、知りませんっていいわけは、
これからあの人たちは出来なくなるだろ?」
「・・・そうですね。」
「それにグチグチ言ってたけど、どこが問題だと考えてるんですか?って聞いたら、
品質保証部とかはちゃんと答えてくれてただろ?」
「・・・はい。」
「ガラスが割れるとか言ってたし、会議中で挙げられた課題を一つずつクリアしていけば、
あの人たちも否が応でも従うしかなくなるんだからさ。
今日の会議の議事録にも課題を挙げてただろう?
その後の修正依頼もないし、あの課題を解決したら、あの人たちは従うしかないんだよ。」
笑いながら説明してくれるのだが・・・
なんだろう・・・
ちょっとだけ柊さんが怖い気がする・・・
「・・・そのための会議だったんですか?」
「当然。」
「納得されないことも織り込み済み?」
「そうだよ。」
「わかってたんですか?」
「そりゃ~ね。新しいモノするとなると絶対にみんな反対するからね。」
「・・・で、言質を取ったんですか?」
「その通り。言質をとったんだから、それをいまさらひっくり返すことは
向こうもできなくなるはずだからね。」
「・・・柊さんって・・・。」
「何?」
「やっぱり腹黒ですね・・・。」
「どういうこと!?やっぱりって!!」
「そのままですよ!!はらぐろ~!!柊さんって!!」
「失礼な!!」
「やだやだ!こんな腹黒い人と仕事するなんて!!」
「そんな喜ばなくても!」
「喜んでません!!私まで腹黒って言われるのがいやんです!!
うう・・・距離をとらないと・・・。」
「大丈夫!」
「何がです!?」
「すでに俺と一緒で腹黒って思われてるって!井口さんって!」
「・・・最悪だ・・・。」
「そんな照れなくても。」
「まったく照れてないです!!
最悪って言ったんです!!言葉の意味分かってますか??
ああ・・・みんなからこれからどんな目で見られるか・・・。」
「どんまい!」
「軽いですから!しかも原因は柊さんなんですよ!
それなのに全然慰める気がゼロでしょ!!」
「そんなことないよ!」
急に真剣な顔をしたので、私はその顔を見てちょっとドキッとする。
だが、そんな顔をして私に言った言葉は・・・
「1%くらいはあるよ。」
「低いし!!じゃあ、残りの99%は何ですか?」
「・・・おちょくり?」
「おもちゃじゃないんですよ!私は!!
ああ・・・私の出世が遠のいていく・・・。」
「大丈夫・・・
もともと遠いからさ!研究所だよ、所属?それで出世なんて無理無理!」
そんな私の将来を否定して、笑いながら言う柊さん・・・
「もともととか言うな!!
上司なら、任せとけ!っていう励ましの言葉を強く希望します!」
「任せとけ!俺と一緒にいばらの道を進もう!」
「そんな嫌な誘いはお断りです!
私は整備がキッチリとされたキレイな道を通りたいです!
どうしてそんないばらの道しか選択肢にないんですか!!
私は正規ルートで進んでいくことを強く希望します!!」
「無理だって!だって・・。」
「だって?」
「村中部長に気に入られたんだからね~。」
「・・・ううう・・・もっとまともな上司に気に入られたかったです・・・。」
「結構自分ではまともだとおもってたんだけどな~。」
「いばらの道を嬉々として進もうとする人をまともだとは言いませんけど。」
「ちょっとだけだよ。大丈夫!」
「全然大丈夫って気がしませんって!!」
その後も柊さんのかる~い・・・とっても軽い励ましを受けながら
居酒屋での愚痴を吐く会は続いたのであった・・・。
一応、嫌な気持ちも忘れて、楽しく飲めたんですけどね・・・
次の日も楽しく仕事を迎えられましたけど・・・
なぜか感謝する気にはなれないんですけど!!!
次話は8月13日7時に更新予定です。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。