居酒屋での反省会 ~1~
居酒屋に入ると飲み物のメニューを見ながら、各々飲みたいモノを注文していく。
「とりあえず、俺は生で。」
「あ、僕も生で。」
「私はカシスオレンジでお願いします。」
飲み物を店員さんに注文したところで、店員さんから、
「食べ物は何かありますか?」
「唐揚げとシーザーサラダをお願いします。
それと今日のおすすめってあります?」
「今日は刺身の盛り合わせとカキフライ、それと納豆・・・。」
「「納豆!?」」
私と田口さんはなっとに食いついていると、
その横で柊さんは笑いながら、
「また、店員さんの朝ご飯用ですか?」
「はい!4つで68円で売ってたものです。」
「ちなみにここだと?」
「1つ350円でお出ししてます。」
「「高!?」」
「・・・ネギでも入れてくれるんですか?」
「いえ、パックのまま出してます。」
「それ、ぼり過ぎでしょ・・・。」
「私の・・・
愛情が込められてますから!」
店員さんのバッチリの笑顔が私達に向けられるのだが・・・
「パックに入ったままですよね?持ってくるの。
どこで入れる隙があるんですか?」
「・・・じゃあ、ここでラブ注入します!」
「じゃあっていったし!!」
「どうですか?」
「何でそんなに強く進めるんですか?」
「いや、納豆はメニューに載せてないので、
料金総どりできるので・・・主に私にとって・・・。」
「え?懐に入れる感じ?」
「はい!」
「それ、声に出したらダメなやつですよ。」
「・・・おおっと!!」
「いや、すでに遅いし!!」
テヘって顔をして、何とかごまかそうとする店員さん・・・。
大丈夫なんだろうか・・・このお店・・・
仕切り直しのように真剣な表情をする店員さんが、
「・・・じゃあ、注文は?」
「刺身の盛り合わせとカキフライ追加で、他に何か2人とも食べてい物は?」
「じゃあ、私はこの海ブドウとマグロの山かけお願いします。」
「僕は・・・チョコレートパフェをお願いします。」
「「「パフェ!?」」」
私と柊さんはもちろんのこと、店員さんまで驚きに加わるのである!!
な、何を頼んでいるんだ田口さん!?
「え?ビールとパフェ?」
「それ、無理でしょう~、お客さん・・・。
絶対に合わないですよ・・・。」
店員さんからもダメ出しをされるのだが、
「だってパフェが食べたいんだもん!」
どう言っても田口さんは諦めない・・・
・・・これで今年31歳・・・
それで“もん!”ってちょっと痛いな・・・
ちょっと呆れてしまうが、店員さんも諦めてようで伝票に書きあげていた。
のだが・・・
「じゃあ、注文確認させていただきます。
唐揚げとシーザーサラダ、海ブドウ、マグロの山かけ、あと・・・納豆でよろしかったですか?」
「納豆は誰も頼んでないですよ!
しかもパフェはスルーしてますやん!」
「いや、ジョークだと認識しましたので。」
「いやいや、食べるよ!食べる!」
「じゃあ、今回だけですよ・・・納豆ではなくて、くさやですね。」
「せめてどこか文字をかぶらせて!!
くさやって!!パフェからめちゃめちゃ遠いいから!!」
「・・・・。」
ちょっと不貞腐れる店員さん・・・
こんな店なんだろう・・・柊さんは笑って注文しているし・・・
何とかパフェが注文に通って、ホッとしている田口さん。
それぞれの前にお通しと飲み物が届いたので、
「じゃあ、とりあえず乾杯で。乾杯!」
グラスを合わすのだが、
「乾杯って・・・完敗とかけてますか?」
「あ、バレた。」
笑いだす柊さん。
今日の会議は本当に乾杯だったように思える・・・
私も柊さんに引っ張られるように笑い、
「・・・今日のはひどかったですね・・・。」
「ひどかったね~。」
「私・・・初めて体験しました。」
「貴重な体験になって・・まあ、経験しなくていいならしたくない体験だろうね~。」
「・・・はい・・・。」
「まあ、みんなの本音が知れたんだからいいじゃん!」
「全否定する本音ですけどね・・・。」」
私が思わずため息をついてしまうのだが、
柊さんは笑ったままでいた。
「・・・何が楽しいんですか?」
「いや、やっぱり堪えるんだな~って思って、井口さんでも。」
「そりゃ~応えますよ!あんな理不尽に言われたら、
どうしろっていうんだーーー!!って思いますもん!」
「バイトとかでそんなこと言われたことない?」
「ああ・・・あります!
学生時代、家の近くにあったユニク〇で働いてたんですけど、
夏場にあるお客さんが来て、
『どうしてウルトラダウンないんですか!!』
って、ものすごい剣幕でお客さんにキレられたことあります。」
「夏場なのに?」
「はい、夏場なのに・・・。
話を聞くと、その数日後に南半球に行くから、欲しかったらしいんですけど、
『ユニ〇ロなら売っとけよ!』
っていう、捨て台詞を私達店員に吐かれて帰られましたけどね。」
「そりゃ~、なかなか無茶な注文だね~。
夏場に来て、冬物を取り扱ってないことに逆切れするなんってさ!」
「一応、中古品とかを探してみたらと言ったんですけど、
『私一応金持ちなんだけど。』
って言われて、それも気に入らなかったらしくて、めっちゃ癇癪起こされましたよ・・・。
あぁ~、思い出しただけで嫌な気持ちになってきた・・・。」
「金持ちなんだったら、百貨店の外商にでも頼めばいいのにね・・・。
わざわざユ〇クロに来て、探さなくてもいいのにさ。
・・・そんな貴重な経験をしてるんやったら、今日のも似たようなもんじゃん!」
「そうですけど!
こんなに新しいモノにチャレンジしようとすると
みんな揃って反対するとは思いませんでしたよ!!
コマーシャルとかでは先進的な技術にチャレンジします!的なコメントするのに、
実際しようとすると全否定するとは・・・。」
「素敵だろう?」
「まったく!全然!これっぽっちも!!
こんな会社で、先進的なことが出来るなってこれっぽっちも思わないですよ!」
「右に同じだわ。」
「でしょ!!!柊さんもそう思いますよね!!!
何か、うらぎられた~って感じがします!!」
その後も止まらない私の愚痴。
ちなみに私の横では私の止まらない愚痴を全く聞かずに、
田口さんは美味しそうにパフェを食べているのであった・・・
いや・・・いいんですけどね・・・
次話は21時に更新予定です。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。