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俺が魔剣、妹が聖剣に転生した件  作者: 梨野可鈴
第五章 最終決戦
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最後の戦い(02)


 ロイバンシュビッチが、目にも止まらない速度で、ラプラスに向かって突進する。

 ラプラスもまた、俺達のことは眼中にないとばかりに、ロイバンシュビッチに向かっていった。


(えっ、肉弾戦!?)

(いや……互いにオリハルコン製だ、あれが一番なんだろう)


 オリハルコンを傷付けられるのは、オリハルコンのみ。

 互いに残像が見えるほどのスピードで、拳を、蹴りを繰り出しては避ける。


『――私は今、ラプラスとシャデラリーゼルの性能を統合しています。私と戦えば、シャデラリーゼルと等価な性能であるあなたは破壊されます。私に協力し、共に人々を殲滅することが最善であると提案します』

「却下する! 俺が砕けようと、ラプラス、貴様を――!」


 ガシャン、と二つの金属がぶつかる音がする。ロイバンシュビッチの腕を、ラプラスが捕まえていた。両者は互いに睨んだまま、微動だにしないが、凄まじい力で押し合っていることは分かる。


『――合理的な理由のない行動を確認。対応の検討。個体、ロイバンシュビッチは行動決定回路の異常があると判断。破壊を――』

「理由だと――? 貴様が、シャデラリーゼルを破壊したからだ!」


 ピタリ、とラプラスの動きが止まる。


「……同じだ」


 ノエルが呟いた。


「ロイバンシュビッチから感じる……あの時のケンゴと同じ、怒りを……」


 ……ああ。そうか。

 妹を失った、その怒りを、俺は知っている。


 ロイバンシュビッチとシャデラリーゼルは共に同じ職人に作られたゴーレムだという。二人とも感情は見せなかったけれど、もしかしたら、互いに兄妹のような存在だったのかもしれない。


「そうだ、理屈じゃないんだ……僕達は、守りたいんだ!」

「皆の未来を、幸せを……!」


 セラは歯を食いしばり、聖剣を構えた。ノエルもまた、魔剣を掲げる。


(まだまだこれからだよ!)

(ああ!)



 ロイバンシュビッチに加勢すべく、俺達は飛ぶ。ノエルは、セラと繋いでいた手を振り回し、思い切り円盤投げのように投げる。


「セラ!」


 その隙に俺とノエルは飛んで後ろに回り込む。


「やあああっ!」


 俺の魔剣から銀色に輝く風の刃を大量に飛ばし、ラプラスにぶつける。ラプラスはダメージにならないと踏んだのか、避けようともしない。

 だが――


「くっ!」


 目眩ましに飛ばした銀色の刃の向こうから、金の輝きに身を包んだセラが現れ、ラプラスに聖剣を降り下ろす。

 確かに刃がラプラスに食い込み、ヒビが入った。


(そのまま押し込め!)


『……。』


 ラプラスは迎撃しようとするが、ロイバンシュビッチが捨て身でラプラスに抱き付くようにして動きを封じる。


「えいやあっ!」


 ノエルもまた、頭の上から魔剣を振りかぶって、迫る。

 ラプラスがこっちに火炎放射のように口から炎を吐くが、風で無理矢理吹きとばす。


(ノエル、熱くないかっ!?)

「構わぬ、そのまま突き進んでくれ!」


 いくら風で守ってるとはいえ、ノエルにはかなりの熱風が当たっているはずだ。だが、ノエルは耐えて、真っ直ぐラプラスを睨む。


『――うるさい!』


 甲高い声と共に衝撃波が生じた。ラプラスを中心とした波は、ノエルと俺、セラと伊織、ロイバンシュビッチを別々の方向に強く押し出す。


(セラっ!)


 伊織は結界を展開、さらにロイバンシュビッチが抱え込むことで、どうにかセラは空中で持ちこたえた。だが、アバラを押さえ、ぜえぜえと息をしている。


(セラ、大丈夫、ねえ!)

「大丈夫です……まだ、負けるわけには……それより」


 そう、俺達は、豹変したラプラスを見ていた。機械のようだったラプラスが急に叫び出し、狂ったような勢いで、三つの頭を振り回す。


『うるさいうるさいうるさいうるさい――! そうやって、必死に戦って、何だっていうの! 人なんか、人なんかもう見たくない――!』


 それは、聞き分けのない子供が駄々をこねるみたいだった。今までの、感情のない様子とはまるで違う。


「え……?」

「急に……何を……?」


 ノエルは目を丸くし、セラは怪訝な顔をしている。ロイバンシュビッチは観察するように、鋭い目をラプラスに向けている。


『そうやって、大事なものを守るって、ずっとお前達人は争ってきた――お前達は、お前達は!』

「ずっと……?」


 何かがおかしい。

 人がずっと争っていた、それは、魔族と人間の戦争のことだろうか?

 だが、ラプラスはその間、封印されていたのではないのか?


(変だよ、あれ、本当にラプラス?)


 伊織が呟く。俺も同じ事を考えていた。

 ロイバンシュビッチの低い声が、呼びかけた。


「――そこにいるのか、シャデラリーゼル」


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