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俺が魔剣、妹が聖剣に転生した件  作者: 梨野可鈴
第五章 最終決戦
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悪魔の復活(03)


 †††


 ラプラス目掛けて飛び立った俺達だが、空中に向かうというのは、ラプラスが作り出すゴーレムの群れに突っ込んでいくということだ。

 行く手をゴーレムが阻み、避けながら進んでもなかなか近付けない。


「くっ……邪魔で飛べぬ!」

(囲まれる訳にはいかないぞ……)


 風魔法でいくつかは打ち落とせたが、あまりにも立ち塞がるゴーレムが多すぎる。

 何とかならないか――周囲を見渡すと、地面で巨大な赤い旗を振っているのが見えた。


(ノエル、あれは!?)

「あれは魔道砲台! ケンゴ、一度下りてくれ!」

(分かった!)


 ノエルの体を風で包んで守りながらも、急降下する。地面には大きさが3メートルはありそうな巨大な弓が設置されていて、矢もないのに、その弦を兵士が数人がかりで限界まで引いていた。

 弦が放された――と、同時に弓から巨大な炎が発射される。

 それは上空から迫るゴーレムの群れを飲み込み、燃やし尽くした。


 †††


「第二弾、構え――撃て!」


 地上の魔族軍は、所有する魔道具の中でも、最大火力を誇る魔道砲台を、惜しみ無く撃ち続けた。

 さらに砲台の範囲外にいたゴーレムを、歩兵が二人一組となり、弓矢で撃ち抜く。


「矢を運べ、撃て!」


 キースもまた、弓を引き絞っていた。愛用している幻惑の弓ではなく、魔族軍から支給された普通の弓矢を背負い、魔道砲台を狙おうと近付くゴーレムを撃ち抜いていく。


「ゴーレムは再生する! 破壊したゴーレムは火をつけて砕け!」


 魔道砲台の炎で燃やしたゴーレムが再生されないことを確認していた隊長は、軍全体に指示を出す。


 戦場は、炎と煙に包まれ、まさに地獄絵図だった。


「前からもゴーレムの群れが来ます!」

「……空からでは撃ち落とされるのを危惧して、下りて歩いてきたっすか……」


 キースはぎり、と奥歯を噛む。


「隊長、陣形を変えますか」

「いや――」


 魔族軍の隊長は、空に浮かぶラプラスと、それを守るように未だに作られるゴーレムを見た。


「空への射撃を緩めるな!!」


 雑魚をいくら倒してもキリはない。だからこその、苦渋の判断だった。


「ケルン様がいない状態での、白兵戦は厳しいぞ……」


 誰かが呟く。それでも、戦わなければならない。


「行くっすよ!」


 キースは、空になった矢筒を捨てる。腰の剣を抜いて、数人の兵士と共に駆け出した。


 †††


「ケンゴ、戻ってくれ!」

(駄目だ!)


 俺はゴーレムの合間をスラロームのように飛び、ラプラスへと向かう。


 上空から見たら戦況がよく分かる。魔道砲台が立て続けに撃ち込まれた後、ゴーレムが地上からの攻めに転じた。そこから、魔族軍はかなり押されていた。

 理由ははっきりしている。前の守りよりも、空への攻撃を優先したからだ。

 ノエルの道を開くために。


 涙目のノエルの気持ちは分かる。分かるが――だからこそ行かなくてはならない。


(今戻れば、みんなの戦いが無駄になる! あの魔道砲台ってやつだって、そう何発も撃てないだろ!?)


 ああいうMPをバカ食いしそうな大技は、撃てるのは数発と相場が決まっている。


「分かっている、我にも聞こえるのだっ……!」


 魔王様のために、と自分達を鼓舞して戦う、兵士達の声が。

 その肩にのしかかる重圧が、ノエルを苦しめるのも。


(大丈夫だ、俺がついてる、必ず勝つぞ!)

「……うむ!」


 向かってくる雑魚ゴーレムを空気砲で撃ち落とし、俺達はラプラスの前に対峙した。


「――我が名は魔王ノエル! ラプラスゴーレム、お前を倒す!」


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