悪魔の復活(02)
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地響きと共に、遺跡地帯の瓦礫が上空に舞い上がったかと思うと、そこから作り出されたゴーレムの群れが、私達のいる人間軍を目掛けて攻撃を始めた。
「くっ……!」
セラは私を振るい、迫るゴーレムを弾き飛ばす。
だけど、ゴーレムはバラバラになっても、すぐにまた近くの破片とくっついて新しいゴーレムを生み出す。
小さな瓦礫がくっついている分、叩けばすぐに崩れるけど、すぐに再生されるんじゃ意味ないよ!
「このままでは、いずれ……!」
セラは人間の騎士さん達の先頭でゴーレムを倒しながら、後ろを守っていた。
私――聖剣の能力でいくら弾き飛ばしても、とにかく数が多い。後ろの騎士さん達は、ゴーレム一体を何人かがかりでようやく倒すレベルなのに、だ。
何より、人間はゴーレムと違って疲れる。無限に再生されたら、打つ手が――。
「早く行け、勇者!」
後ろから鋭い声がかかった。
「全ての元凶はラプラスのはず! ラプラスを倒せばこのゴーレム達も止まるはずだ! ここは我々に任せ、早く行け!」
「ケルンさん……!」
俺は任せて先に行けって――それ死にフラグだようっ!
「魔剣と聖剣しかラプラスには対抗できないのだ、早く!」
そう、ケルンさんの言うことは正しい。一刻も早く私とセラがラプラスの元に向かうことが、この場の戦いでも有利になるって、分かってる。
分かってるけど……!
ここはまさしく戦場だった。悲鳴に、呻き声。倒れている騎士さんもいる。
ギリギリの状態で戦っているのに、ここで私達が抜けたら……!
「行きなさい!」
凛とした声が更に重なる。そこにいたのは、甲冑に身を包んだ、ファーラさん。弓に矢をつがえ、鋭い目でこちらを睨む、
「私達の未来を、勝ち取るのです! その覚悟がなければ、今すぐ剣を置いて去りなさい!」
「――っ!」
こ、怖いよファーラさん。セラがこれ以上迷ってたら、矢で刺されるんじゃないかという迫力がある。
「イオリ!」
(行こう、セラ!)
勇者モード、発動!
一気にセラの体を結界で包み、上へと跳ぶ!
(あの空にいるのが、ラプラスだよね)
「はい!」
セラは浮かんでいるゴーレムや、瓦礫を足掛かりに次々ジャンプして、上へと上っていく。
私も結界の制御に集中しないといけない。
――後は任せたよ、ケルンさん、ファーラさん!
†††
勇者セラと聖剣が去った後、人間軍の防衛線は苦戦を強いられていた。
「こいつら、倒しても倒しても……!」
騎士が、剣を落として膝をつき、絶望の目で再生するゴーレムを見上げた。
ゴーレムの拳が、動けない騎士の頭を砕こうとした時、一筋の鉄の矢が飛んだ。正確に放たれた矢は、ゴーレムの腕の付け根を居抜き、腕を落とす。
「無駄だ、いくら戦っても……!」
「勇者が戻るまで、持ちこたえるのです! 動きの鈍った者は後ろに下がり、穴を掘りなさい!」
ファーラは騎士に命じ、自分は騎士を庇うように前に立って続け様に矢を放つ。
「穴……?」
「ゴーレムを埋めるのだ」
ケルンが槍で、再生し始めたゴーレムを突き崩した。
知らない戦士達の指示を聞くことを躊躇していた人間軍の騎士達も、ケルンとファーラが的確な動きで、次々にゴーレムを破壊するのを見て、信頼を寄せた。
「助太刀します!」
「穴を掘ったぞ!」
「すぐに土を被せろ!」
もともと訓練された騎士達は、すぐにファーラの作戦に対応する。
実力のある者が前で戦い、後ろに構えている者が、穴にゴーレムを埋める協力体制が出来上がる。
息一つ乱さず、戦い続けるケルンに、近くの騎士が尋ねる。
「あんた、凄いな……何者だ?」
「ケルン――魔王ノエル様に仕える者だ」
「魔族……!?」
騎士は驚いて目を剥くが、すぐ前にゴーレムが迫ったので、ケルンに背を向け、剣を構え直す。
「……あんたみたいなのが魔族の戦士か……魔族と戦争をしてなくて良かったよ」
「――ふん」
新たに現れたゴーレムに狙いを定め、ケルンは戦場を駆け抜けた。




