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俺が魔剣、妹が聖剣に転生した件  作者: 梨野可鈴
第四章 忘れられた過去
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俺は魔王の武器として(03)


「この世界の人々を救う気はあるか?」

(……は?)


 天気でも尋ねるような口調で、スケールの大きい事を尋ねてきたので、俺は思わず問い返してしまった。


「ラプラスの復活は時間の問題だ。復活すれば、あれは人々を滅ぼそうとする」

「仮に、もう一回魂を魔剣と聖剣に封印できたとしても、封印を維持するには、多くの人が犠牲になるっす……」


 言いたいことは、想像がついた。


(俺の――いや、俺と妹の魂を使って、ラプラスを封印するんだな)


 異世界から来た俺と妹の魂は、この世界で霧消することはない。

 だから、ラプラスの魂を俺達の魂で包んで封印すれば、人々がラプラスの封印を維持するために、命を捧げる必要はなくなるはずだ。


「ラプラスを封印しても、お前達の状態には影響はないはずだ。封印によって外側に出た魂が、その器の人格となると考えられる」


 ロイバンシュビッチの言う、小難しい理屈は分からないが、俺の答えは一つだ。


(ああ、分かった)

「いいんすね? 今の話だと、魔剣さんは元々、俺達人間や魔族には関わりのない存在なんすよ?」


 そんなことない。


(関わりないなんてことはないさ。短い間だけど、俺はこの世界の人達と関わった。俺の存在で、たくさんの人が死ななくて済むなら)


 それに、だ。

 異世界転生ってのは、転生ボーナスが貰えて、その能力で活躍するってのがセオリーだが、俺は転生者であること自体が、この世界を救う鍵らしい。

 英雄になれる――まあ、英雄の武器になれるだけかもしれないが――人々を救うなんて、そんなチャンス見逃すか?


(妹の方の意見も聞きたいけど、多分あいつも頷いてくれるんじゃないのかな)


 話を聞く限り、俺達にデメリットも感じないし。


「そうか。決まったのなら急ぐぞ。魔族の兵が戦闘準備を整えているから、明日の朝には発つことになる」

「……ラグナロク、よろしく――頼んだぞ。魔族の、いや、全ての人々の命運がかかっているのだ」

(ああ、勿論だ)


ノエルはそれから、ちょっと目を伏せて言った。


「お主の使い手は、今、兵士の間で選んでいるところだ」


 ――――は?



 ちょっと待て。持ち主ってどういうことだ。


(ノエルが俺を使うんじゃないのか?)

「それは……」


 ノエルは口ごもって、俯いた。

 俺が更に何かを言おうとした時、キースが俺から手を離した。


「ま、大体話は済んだし、明日に備えて、休んだ方がいいっすね」


 そう言ってキースは、ロイバンシュビッチと共に部屋から出ていく。


「魔剣さん、よろしく頼むっす」

「う、うむ……」


 ノエルが曖昧に頷く。

 おい、キース、それは、ノエルに俺のことを頼んでいるのか? それとも、俺にノエルのことを頼んでいるのか?


 ノエルの様子を見てみると――そういえば何となく、元気がない。


(とりあえずさ、ノエル。俺を鞘にしまって、適当な場所に運んでくれないか?)

「う、うむ、ラグナロク……」

(ああ、それ。俺の名前、健吾っていうんだ)


 ラグナロク、はあくまで剣の名前だ。

 いや、別にそう呼ばれていても不便はないし、カッコいい名前ではあるんだが、さすがにその名前で呼ばれて返事をするのは、中二病が過ぎるというか、何というか……。


「ケンゴ? うむ、分かった」

(そうそう。で、聞きたいんだが――俺って魔王が使う魔剣なんじゃなかったの? ノエルが使わなくていいのか?)


 ノエルは、首を横に振った。


「だからこそ、なのだ」

(……。)

「我は魔王に相応しくない。この剣を持つ、資格などないのだ」


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