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魔剣と聖剣が出会う時(02)


 †††


「あなたが魔王だと言うなら――聞きたいことがある! なぜ、僕の村にゴーレムを仕掛けた!」


 ……む?


 俺は、俺(正確にはノエルを)に対峙して剣を向けてくる彼女の言葉に首を傾げた。いや、首はないから気分的な問題で。


 魔族が人間にゴーレムを仕掛けた……? いや、そんなはずはない。

 ちょっとの付き合いだが、このノエルが戦争を起こしそうな火種を、自分から撒くなんてないと断言できる。自分の民を何よりも大切にしている。


 そもそも、魔族側こそ、ゴーレムを仕掛けられた立場のはずだ。

 燃えるゴーレムに村を襲われたばかりだし、ついさっきも攻撃を受けた。


 ……何となーく、嫌な予感がする。

 何かこう、魔族と人間の間で、どうにも誤解が起きている感じが……。

 俺の嫌な予感はさらに続く。


「ソンタ殿をこちらに放せ!」

「ちょ、ちょっと待ってください! あの私は、この方達に助けられてここまで……」

「今助けるぞ!」


 あれ? あれあれ?

 何かあのソンタって人も、全然捕らえられた感ないぞ?

 ゴーレムと違って、話せばわかる相手のような気がするんだが。

 これ、無闇に戦わない方がいいやつじゃなくて?


 しかしノエルは――俺を掲げちゃう。


(ヤベ! そうかノエル、耳に栓をしてるから、聞こえてないのか!)


「こっちの話は聞かないつもりか……!」


 ちょ、ちょっと向こうも臨戦態勢入っちゃったんだけど!?

 と、とにかくノエルを守るしかない!


 俺は風を渦巻かせて、ノエルの周りを囲うようにした。


 †††


(セラ……。)


 私には、セラの恐怖も、怒りも、伝わってくる。

 セラは優しい。だからこそ、故郷の村を焼いた魔族が許せない。


 ソンタさんを助けたから、魔族そのものを憎んでいるわけではないんだろうけど、それを命じたであろう魔王のことは、許せないのかもしれない。


 だから。

 セラが私を構えて魔王に向かっていった時、私はセラの全身を結界で覆った。

 逆巻く風でセラの体が傷つかないように、全身を守る。


 金色に輝く光の粒が、セラを包んだ。


「くっ……」


 向かい風に苦しみながらも、セラは魔王との距離を詰め、剣を真っすぐに構え突撃していく。

 魔王の少女が、怯えた表情を見せたが、必死に叫ぶ。


「ひ、ひゃああっ! そ、ソンタ殿! 今のうちに逃げるのだ!」


 はい?


「我がこの人間の気を引いているうちに――早く!」


 少女は涙目になりながら、そう叫んだ。

 その、怯えながらもまっすぐな思いを聞いた瞬間――私は、はっとした。


「――聖剣様っ!?」


 私は、セラを包む結界で、魔王を優しく弾くようにして、二人を引き離した。

 セラが驚いた顔をしている。それはそうだ。武器である私がセラの、攻撃の邪魔をしたんだから。


 だけどセラ――なんとなく思うんだ。

 あの子を攻撃しちゃダメだって!


 †††


 聖剣っていうのは伊達じゃないのか、俺の作った風をバリアのようなもので防御しながら、むこうの女剣士は突っ込んできた。


 俺がどうにか暴風で彼女を押し返そうとした瞬間――俺とノエルは――聖剣が放った金色の光に押し出された。


「ひゃあっ……?」


 ペタリ、と尻もちをつくノエル。

 それ以上に、俺は驚いていたことがあった。


 剣に転生して、ノエルの武器となりながら、ノエルの意思とはほぼ無関係に勝手に戦闘してきた俺だからこそわかる。


 あの剣。

 明らかに今、持ち主の意思とは反して、俺たちを斬らせまいとした――。


 さらに驚くべきことは続く。

 俺の剣から、銀色の光の粒が、そして向こうの剣から、金色の光の粒が、お互いに伸びて、互いに相手を包みあったのだ。


「な、何が起きているのですか……!」

「どうなっているのだ!?」


 俺にだって分からない。

 分からないけど、これは多分あれだ!

 魔族の最強武器と人間の最強武器、見た目が色違いでそっくり、対になるアイテム。

 共鳴してるんだ、おそらく!


 そして――声が聞こえた。


(……え? 何? 何なのこれ?)


 それは間違いなく、前世で共に死んだはずの、妹――伊織の声だった。

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