表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が魔剣、妹が聖剣に転生した件  作者: 梨野可鈴
第二章  使い手との旅
16/61

魔王と旅する俺(03)


 †††


「この魔剣――我の意思とは関係なく、魔法を使うように思うのだ」


 ノエルはそう言って、俺――魔剣を見た。


「と、仰いますと……」

「本来、魔道具というのは、ケルンの言うように、持ち主が命令をして動くもののはず……。だが、この魔剣、さっきのゴーレムの攻撃に、我が気付く前に反応したのだ」


 おお?

 もしやこの流れ、剣である俺に、魂が宿っていると気付いてもらえる?

 俺は期待した。

 だが、ケルンは別の考えに至ったらしい。


「考えられるとすれば、この魔剣には、持ち主を自動で守るような魔法が施されているということでしょうか? 私の『癒しの鎧』や、姫様の『力の手袋』と同じように、常時発動する種類の魔法なのかもしれません」

「むう、そうか……」


 ……ですよねー。

 そんな簡単に、俺の存在に気付いてはもらえないですよねー。


 ま、いいさ。俺のことは危険報知器くらいに考えてもらってれば。俺は睡眠の必要もないし、何度も言うが全方位に視界が開いている。見張り役としては最適だろう。

 この遺跡地帯には、他にも潜んでいる敵や、罠が仕掛けられているかもしれない。ケルンも十分周りに警戒しているが、俺も気を抜かずにいた方がいい。


 ケルンは、腕だけのゴーレムを槍で突いて叩き壊した。


「先を急ぎましょう、姫様」



 それからケルンとノエルは、遺跡地帯を進んだ。

 ノエルは、ケルンに背負われず、魔剣を構えたまま、自分の足で歩いている。俺も鞘から抜きっぱなしにしておいてもらった方が助かる。敵が現れたら、俺の風魔法ですぐに攻撃できるから。


 俺の武器としての能力を分析すると、剣というより、剣の形をした魔法の発動体と捉えた方がいいのではないだろうか。要は、魔法の杖だ。


 いや、剣として使えないってことはない。力のあるケルン辺りが装備して振り回せば、それなりに刃物として使えるはず。ただ、俺の能力――風を自在に操る能力――を活かすのであれば、肉弾戦をする必要はない。


 非力で、多分、運動神経もそこまでよくない、少女のノエルが装備するには、ぴったりだと思う。

 しかしノエル、俺を構えてくれているのはいいのだが、もう少し肩の力を抜け。いくら魔道具で補助しているとはいえ、そんなにガチガチだと肩が凝るぞ。

 ケルンはそんなノエルを見兼ねてか、休憩を提案した。


「ぷはあっ」


 水筒の水を飲み干すノエル。緊張で口が乾いていたようで、本当においしそうに水を飲む。俺は喉が渇かないが、ちょっと羨ましい。

 そんなノエルを微笑ましそうに見た後――さて、ケルンは荷物から水晶を取り出した。


 双子水晶のもう片方、村に保管されていた方だ。遺跡で双子水晶を見つけたときに、そうと判別できるように、持たせてもらっているのだ。今はその水晶は何も映さず、真っ黒になっている。


「双子水晶は、村の者の話によると、この辺りに設置してあったらしいのですが」

「例えばだが、遺跡にあった方は割られている、ということはないのか……?」


 ノエルが尋ねる。それはあり得る話だ。

 この遺跡に侵入した人間が、この水晶を壊す。そしてこっそりと、あの腕ゴーレムを設置する――。


 しかし、ケルンはそれを否定した。


「双子水晶は、二つで一つの魔道具であり、その片方が砕けた時は、もう一方も同時に砕けるのだそうです」


 ふうん。不思議だな。


「こうして一方が存在しているということは、もう片方は少なくとも形がなくなってはいないはずだそうです。そう考え、ソンタ殿は様子を見に行ったのだそうです」

「ふむ……」


 ケルン、しっかり情報収集してくれている。本当にそつのない従者だな。



 その時――急にケルンの手の中の水晶がぱっと明るくなった。


「!」


 驚いて、水晶を取り落とすノエルとケルン。


 地面に転がった水晶には、人の顔が映っていた。

 向こうもまた驚いた様子で、こちらを見ていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ