表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が魔剣、妹が聖剣に転生した件  作者: 梨野可鈴
第二章  使い手との旅
13/61

勇者と旅する私(01)


 †††


 ごく普通の女子高校生だった私が、聖剣に転生してしばらく経った。

 勇者を選んで、その勇者と一緒に、平和のために旅をする。うん、聖剣らしいと思う。


 セラとキースは、街道を歩き、森を抜け、時に野宿もしながら、北にある遺跡地帯を目指していた。何と絵に描いたような冒険でしょう。


 さて、私は、魔物が襲いかかってきたら、セラを守るんだー、と意気込んでいたんだけども。歩けど歩けど、スライム一匹たりともエンカウントしない。

 ……ひょっとしてこの世界、魔物とかモンスターがいない?

 最初にセラと協力して倒したゴーレム、あれは背中を押すと動く人形――魔道具だった。王様の話でも、「村はゴーレムに襲われた」って言ってたし、スライムとかゴブリンとか、そういう魔物的な生き物はいないと考えていいみたいだった。



「明日には遺跡地帯に一番近い町につくっすよー」


 キースは伸びをしながら言う。

 夜になり、セラとキースは森の中で野宿をしていた。たき火をはさんで向かい合うように座る。


「早く宿のふかふかベッドで寝たいっす、風呂入りたいっす」

「そうだね」


 セラもキースに同意する。私は剣だからあんまり感じないけど、二人は汗もかいているし、さっぱりしたいだろう。

 するとセラは私を置いて――服を脱ぎ始めた。


「うひゃあっ!?」


 なぜか声をあげ、飛び退くキースを、セラは見た。


「なに、どうしたの」

「い、いや……何でもないんすけど……」


 視線を逸らすキース。その頬が赤いのは、たき火の炎のせいだけじゃないよね?

 うん……まあ、キースの奇行も分かる。セラは男。男なんだけど、分かって見てもやっぱり美人さん。

 急に服を脱がれると、ドキッとする……のかな、うん。


 そんな自覚のないセラは、濡らした布で体を拭いていた。

 私は全方位ある視界をシャットアウト。見た目は剣でも、中身は乙女なのだ。 ただまあ……キースが、両手で顔を覆いながらも、ちらちら上半身裸のセラを指の隙間から見ているものだから、私も完全に視界をシャットアウトできない。

 セラは私が守るのだ……色々な意味で。


 ちなみに、私、少年漫画は大好きだけど基本的に原作派。女の子の少年漫画ファンが皆BLカップリング好きかっていうとすごい偏見だよ。


 そんなことを考えていると、私はセラの体に刺青が入っているのを見つけた。 ちょうど鎖骨の間あたりに、太陽みたいな小さな模様が刻まれている。


(……何だろう?)



 セラは服を着直すと、次に荷物から櫛を取り出し、三つ編みにしていた髪をほどいて、とかし始めた。

 うわあ、色っぽい。というか、何でそんなに髪がサラサラなの。私自身にはもう髪がないのに、嫉妬しそうだ。


 キースは、そんなセラを見て、ぶつぶつ呟いていた。


「何で髪なんかとかしてるんすか……」

「もうすぐ町につくなら、それなりに身だしなみは整えた方がいいかなって」

「そうじゃないっすよ! 顔が可愛いのは仕方ないとしても、何で髪を伸ばしてるんすか!」


 無茶苦茶なキースだけど、言いたいことは分かるよ。髪が長いことも、セラが女の子に見える要因だよね。

 それにセラは、少し目を伏せて答えた。


「願掛け、かな」

「?」

「……僕の村は、ゴーレムに襲われたんだ」

「まさか、”風の村”の出身っすか?」


(あ、ひょっとして)


 私の中で、セラが王様の前で見せた辛い表情の意味が繋がった。

 ……ゴーレムに襲われた村は、セラの故郷だったのか。


「村を焼き尽くすゴーレムに、僕は、何もできなかった……。勇者に志願したのは、そのためだよ」

「仇を取るまで……髪を伸ばすつもりっすか?」


 セラは、ため息をついた。


「切った方がいいかな?」

「いやいや、勿体ない……ん? 俺は何を言っているっすか……」


 混乱しだしたキースは放っておいて、私は暗くなってしまったセラを心配した。

 そんな理由があったなんて。

 私は元気付けるように、そっと剣に光を灯した。金色の暖かい光が、セラの頬を照らす。


「……あれ? 剣が輝いてる」


 うん、説明しよう!

 私、聖剣は「結界」の能力を使う時に聖剣の刀身が光輝く。

 この結界は、何を結界の範囲から弾くか・中に入れて守るか、が選べる。だから、「何も弾き出さないで、結界を発動する」ことで、剣を自由に輝かせることが可能なのだ!


 セラは急に輝きだした私を、不思議そうに見ている。


「どうしたんだろう、何かに反応してるのかな?」


 ……う。伝わってない。


「何だか、剣がセラを元気づけてくれてるみたいっすね」


 おお、すごいよ、キース! その通りだよ!

 私の中でキースの株が上がった。


「まさか……?」


 セラは私をしばらく眺めていた。私も答えるように、ちょっと点滅してみる。

 ふっ、とセラが笑った。やっぱりその笑顔は、とっても綺麗だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ