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俺が魔剣、妹が聖剣に転生した件  作者: 梨野可鈴
第二章  使い手との旅
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魔王と旅する俺(01)


 †††


 ごく普通の男子高校生だったはずが、なぜか異世界で魔剣になり、ノエルという少女――これが魔王らしいのだが――と旅をすることになって、しばらく経った。

 ノエルとケルンとの旅は順調である。少女のノエルの足では、とてつもなく遅い旅になるんじゃないか? と俺は最初心配していたが、そんな懸念はすぐに吹き飛んだ。

 ケルンがノエルを背負って走っているのだ。そしてケルンが走ればとんでもなく速い。飛脚か。


 よくそんな重そうな鎧を着て、さらに大荷物と子供一人を背負って走り続けるなと思ったが、どうやら、ケルン自身は装備している「癒しの鎧」の効果で、疲れを感じていない――正確には、疲れてもすぐに回復するらしい。

 俺を運ぶノエル、を運ぶケルンに背負われながら、広がる広大な草原や山々をぼーっと眺める。

 絶景だな。地球で言うなら、アルプス辺りの景色はこんな感じかもしれない。俺の住んでたとこは、まあまあ都会だったから、緑が目に優しい。


 さて、旅の間、俺はこの世界について、色々なことを学んでいた。



 異世界らしく、この世界には、魔法が存在する。

 しかしどうやら、魔法の力を持つのは、魔道具と呼ばれるアイテムだけらしい。つまり、魔道具がなければ、人間も魔族も、一切魔法が使えないようだ。

 以前、ケルンが俺のいたダンジョンの扉を、呪文を唱えて封印していたが、あれはケルン自身が魔法を使ったのではなく、扉の力ということのようだ。


 じゃあ、魔道具はどうやって作るのかというと――現代の技術では作ることができない。

 魔道具を作る技術ははるか古代に失われてしまっている。ケルンの鎧にしても、ノエルの手袋にしても、現存する魔道具は全て古代から残っているものらしい。

 この世界の文明は、見たところ中世ヨーロッパレベルだろう。そんな中、これらの魔道具はオーパーツなわけで、とても貴重だ。


 その魔道具は、人間と魔族が互いにいくつか持っている。しかし、人間と魔族の国の境界にある地域、かつて古代文明があった「遺跡地帯」と呼ばれる場所にはまだ眠っているのではないかとのことだ。


 かつては、人間と魔族が、遺跡地帯に眠る魔道具を目当てに争ったらしい。

 そして、今、懸念されているのは、人間が戦争のために魔道具を大量に確保してるんじゃないか、という噂が流れていることだ。もし人間が、こっそりと魔道具を集めていたら、戦力差がすごいことになる。


 ――何で俺が、こんなにこの世界の事情に詳しいかって? ケルンが、ノエルに繰り返し繰り返し講義するのを聞いてるからだ。


「ですから、遺跡地帯を偵察するのです。偵察だけですよ、分かっていますか、姫様」

「うむ!」


 何度も念押しするケルンと、威勢よく返事するノエル。

 ……本当に分かっているのかな。



 歩き続け、俺達は”遠見の村”についた。


「ノエル様! なぜこのような田舎の村に?」


 村人達は、ノエルが来たと知ると大騒ぎ。まあ、だよな、魔王ってことは、魔族の国の王様なんだし。ちなみに、村の若い女の子は、ケルンの姿を見てきゃーきゃー言ってる。やっぱりケルンって、この世界の基準でも美形なのか……。


 ノエルは胸を張って堂々と立った。


「うむ。遺跡地帯の様子を見に来たのだが、何か変わった様子はないか?」

「……!」


 村人達の間に動揺が広がる。これは何かあるな。

 村の代表らしい老人が進み出ると、ノエルに頭を下げた。


「申し訳ございません、実は……双子水晶の様子が、おかしいのでございます」

「双子水晶……?」


 ノエルが首を傾げたので、ケルンが説明する。


「二つで組になる水晶玉の魔道具です。水晶は、互いにもう片方の水晶の向こうの景色を映し出すのです」


 なるほど、テレビ電話みたいなもんか。


「この村では確か、遺跡地帯に片方の水晶玉を置き、常に様子を見張っていたはずですね?」


 ケルンが村長に聞くと、村長は頷いた。


「はい……しかし、数日前より、水晶が真っ暗になってしまいまして」


 この村では、人間の侵攻がないか、常に交代で水晶を見張っているらしい。というより、村そのものが遺跡地帯の見張りのために存在しているようだ。

 そして、ある時、村の側の水晶が急に真っ暗になってしまったらしい。


「遺跡に置いてある方の水晶が、壊れてしまったのだろうか?」


 ノエルは首を捻る。村長は再び頭を下げた。


「分かりません――そこで、ソンタという魔道具に詳しい者に、様子を見に行かせたのですが……」

「まだ帰っていないのか!?」


 むむ、事情は分かった。これは不味い事態かもしれない。

 何しろ、魔族の村に対して、ゴーレムの襲撃があったばかりなのだ。国境周辺では何があるか分かったものじゃない。

 ノエルもそう思ったのか、ケルンを振り返った。


「すぐにソンタ殿を助けにいくぞ!」


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