とても寒い夜に…
「貴方のは1週間後の12月27日午後9時51分に死亡が確定しました」
天使は少女に淡々と報告をする。少女は取り乱す訳ではなく冷静に呟く。
「今年も無事に25日を迎えられるんだ。」
その眼には未練が全くなく満ち満ちた表情を浮かべている。
その少女は天使にとっても初めて出会った。このぐらいの年齢…いや、どんな人間に死の宣告をした場合必ず未練がにじみ出る。だが、彼女には全くない。天使にも死がある。自分がもし彼女と同じ立場なら絶対にああはしていられない。
「天使さん。雪が降ってきた。」
少女は窓ガラスに手を当てて目を年相応の少女のように輝かせていた。
「雪なんて良いことないですよ。寒いし今の世の中を生きるのはつらいと聞きますが。」
すると少女は頬を膨らませた
「夢がないな~。今これだけ降れば今年こそホワイトクリスマスだよ」
足のない彼女はまぶしすぎる笑顔を浮かべた。
「○○さん大丈夫ですか?」
少女が体長を崩した。少女は必死に医師に手を伸ばし聞く
「今年のクリスマスの外出…」
医師は少女の手を伸ばして
「大丈夫!」
と言うがそれが嘘であることは視なくてもあからさまだった。
「嘘つき!」
今までにない形相で少女は医師をにらめ付け胸倉を掴む
作り笑いを浮かべなかが言い訳をする医師たちは天使から見ても見苦しく滑稽であった。
毛布に引きこもった少女に天使は手を差し伸べる。
「私が外に連れていきましょう。」
「どうでしたか?初めての外は」
少女は雪よりも冷たくなっていた。
天使の羽根も夜よりも黒く暗く…
その晩天使の泣き声が聞こえたそうだ