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「そういえば千寿ちゃん、エイイチが赤ちゃんの頃会ったの覚えてる?」


 田処夫人は今時かと問われればそうでもない私の名前が趣味に合ったらしく、何かにつけて女学生めいた調子で、千寿ちゃん、と呼び掛けられた。

「えーと、はい、なんとなく」

「あら嬉しい。よろしくね」


 覚えていたのは田処家満場一致で決定したらしい例の命名のせいなので、そう単純に喜んでもらっても困るな、と思いつつやはり何も言及しないことを選ぶ私である。

 初対面と呼ぶべきときには、正直なところ名前のインパクトが強すぎて本人については曖昧だったのだが、弟に連れられてきたタドコロA-1はすでに名と競って負けないだけの印象を十二分に与えた。


 タドコロA-1を一言で表すなら、「整っている」。姿態も、動作も、思考も、感心する隙すら差し挟めないほど整っている。

 最大の効果を生み出すために緻密な計算を繰り返した結果、というよりも、いろいろ考えるのは面倒だからひとつだけ数値を決めてあとは黄金比に代入してしまえ、といういささか手抜きの感すら得てしまうくらいである。


 赤ん坊だった時代があるなんて信じられない、という人がいる。

 タドコロA-1はそのタイプで、しかも後から振り返るとこうして子供だった時代があるということも信じられないのだろうな、と確信のように思った。


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