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客間に布団を敷き、運んできた扇風機のタイマーをセットしてタオルケットを胸の上まで引っ張る。
枕元には卵酒と水差し、氷のたっぷり入った魔法瓶を載せた盆と、居間から拝借してきたティッシュペーパーの箱に小さな屑入れ。
電灯は一番弱い、橙のもの。
準備をしている間にも何が引き金になったのかくしゃみを連発し、幾度となく鼻をかむ。少しの辛抱だ。経験上眠ってしまえば鼻も止まる。
あとはただ眠るだけでいい。
風邪をひくのはもう慣れた。風邪で寝込むのも夏冬の恒例だ。
風邪は誰かにうつすと治るというが、私の調子の悪いのが治まると弟もげほげほやり出したし、弟が外を駆け回る頃になると弟の友人連中がちらほら欠けるのが常であった。
その中でいつも何事もなく顔を出すタドコロA-1を見るたび、対ウイルスソフトというのは便利なものだなあ、とひたすら感心したものである。