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獣達から見た天下  作者: 女々しい男
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伊賀越えの裏話

兄様が都に上洛したとの報告を伊勢にいる時に聞き、獣たちと共に伊賀を通り、都に向かっていた

「姫、囲まれております・・・」

犬が俺の横に来て呟く

「出てらっしゃい」

俺はそう呟く

すると林の中から一人の忍び装束を着た男が出てきた

「織田の姫、お市様か?」

男は俺を見て話す

「そうよ、あたしを呼べって上の者が言ってるのかしら?」

俺は男にそう話しかける

「手荒な真似などしない、頭目が会いたいそうだ」

男はそう告げる

「ふ~ん、服部は承諾してるから、百地?藤林?」

俺は首を傾げながら、問いかける

「双方だ・・・」

「わかったわ、そんなに長居はできないわよ」

「わかっておる」

男はそう言って先頭を歩き出した

俺たちはその男の後を付いて行き、館に連れて行かれた

その館に入ると、あちらこちらに人の気配を感じるが人影は見当たらない

「ここでお待ちを・・・」

男はそう告げると音も無く消えた

「姫、油断めさるな」

熊が俺に呟く

「こりゃ、話が拗れたらやばいな・・・」

犬が額から汗を一筋流していた

すると奥から二人の男がやってきた

「このような場所に、いきなり連れて来て申し訳ない。わしは百地丹波じゃ」

少し歳を重ねてるであろう男が俺に話しかける

「別にかまわないわ、貴方たちにとっては信じられないのでしょうから」

俺はそう言って男の目を見る

「ほう、我等を恐れないのか?闇に生きる我等をそのような目で見るか。面白い、俺は藤林長門守だ」

もう一人の若い男が俺を見て話す

「恐れる?何故恐れなきゃいけないの?同じ人じゃない」

俺は若い男の目を見て話す

「はっはっはっ、我等は人にあらず、闇にのみ生きれる民百姓以下の者ぞ・・・」

百地は笑っているが悲しい瞳をして話す。

「卑屈ね」

「何とでも言え、我等は今までそのような扱いであった。これからも変わらぬと思っておった」

藤林は俺を見る

「それが服部の小僧が我等に希望を持ってきおった・・・」

百地が俺を見る

「もし、この話が我等を騙す甘言であれば、我等はお主等を生かして返さぬ!」

藤林は俺に殺気を込めて見つめる

「藤林、姫はこのような嘘は言わんでおじゃるよ」

雉麻呂が進み出て話し出す

「なっ!義元様!生きておられたのか・・・」

藤林は目が飛び出しそうなくらい驚いていた

「ほう、義元侯のお墨付きか・・・」

百地は雉麻呂を見ながら呟く

「藤林、百地殿、麻呂は義元ではない。今は姫に仕える雉出雉麻呂じゃ、そのようにしてくれ」

雉麻呂はおじゃる言葉を使わなかった

「「はっ」」

二人は何かを察したのであろう、了承の言葉を発した

「しかし何故?姫様は我等の様な者を大事にしてくださる」

藤林が話し、百地も頷く

「同じ人だからよ、民百姓も商人も武士も忍びもみな同じよ。ただ役割と責任が違うだけ、誰かが偉いわけではないわ」

「「・・・・・・」」

二人は目を閉じて沈黙している

「今のこの世はおかしいわ、狂ってる。強い者が弱い者を守るのが人よ。でも守らず、逆に苦しめる。こんな世界間違ってる!だから織田は変える為に戦う。武士は民百姓が安心する世界を守るためにいるのに、武士であることに驕り、威張り散らす。おかしいわ!こんな世界。だから元のあるべき姿に戻すの」

二人は涙を流していた

「手伝ってもらえないかしら、貴方たちの力が必要なの」

俺は二人を強い意志を持って見つめる

「我等の力がこの世を変えれると仰るのか」

百地が俺の目を見て話す

「貴方たちだけじゃないわ!皆で変えるのよ!だから卑屈にならないで!差別されることが無い世を作りたいの。お願い、力を貸して」

そう言って俺は土下座をして頭を下げた

「「「「姫!」」」」

獣たちが驚いた声を出す

「そこまでされるか、藤林よ。わしはこの姫に賭けてみたい」

百地は俺の近くに来て肩に手を添える

「百地殿、抜け駆けは無しです。私も姫に賭けます」

藤林が俺の近くに来て空いていた肩に手を添える

「ありがとう、後悔はさせないわ」

俺は感謝の言葉を出していた

「これより伊賀は織田と共に、この世を変えるお手伝いをいたしまする」

「如何様にもお使いくだされ!」

藤林と百地が土下座をして頭を下げると、周りで様子を伺っていたであろう忍びが数十人、姿を現して頭を下げて泣いていた

俺達はそれからすぐに伊賀を立ち、都に急いだのであった

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