自己嫌悪
「さようなら」
彼女はきれいに笑って僕に背中を向けた
僕から離れてゆく彼女はどんな顔をしているのだろうか
どんどん小さくなってゆく彼女の背中
追いかけなくては
そう思っているけど、不思議とからだは動かない
今ならまだやり直せる
わかってるのに僕は動かない
動けない
待って
そのひとことが言えない
僕はまだ君が好きなんだ
喉元まで来ている言葉を呑み込んで、僕は彼女から目をそらす
もう終わりなんだ
間に合わない
再び彼女の方を向いても、もう何もない
胸に大きな穴が開いたような気分だ
ああ、僕はまた同じことを繰り返してしまった
「くそ」
今になって出てきた声
どうして僕は大事なときに何もできないんだ
また僕は大切なものを失ってしまった
「僕はまだ、君が好きなのに」
鼻がつまってきて、目元が熱くなる
何泣きそうになってるんだよ
悪いのは自分だろ
なんで僕はこんな弱虫なんだ
こんな僕なんて要らない
消えてしまえばいいのに
せめて彼女にありがとうを言いたかった
後悔しても、もう遅い
僕はまた僕を嫌いになった