(2)
「最近めっきり痩せこけちまって変な薬でもやってんのか。次のコールは来週だ。ちゃんと出てくれよな」
「生きてたらな」
「必要なら女でもお手伝いでも、男でも派遣するぜ。何でも言ってくれ。こう見えても結構社会的地位が高いんだよ。俺は・よ」
「余計なお世話だ。死ぬときゃ一人だ。骨もほっといてもらって構わん。ああ、そうだお前にひとつ頼みがある。ドナウは寂しがりやなんだ。好物のソフトクリームをたまに差し入れてやってくれ」
「冗談もほどほどにな。あのトルクがこんなに弱っちまうなんてまったく想像できないぜ」
クロスリアリティのビッグシューターでアンドジョンとトルクは出会っていた。
「あの頃は良かったな。今思えば高価なエンジン装置も使いたい放題だった」
「昔を懐かしむ年でもないだろ」
「クールでタフで、クレバーだったのは昔の話だ。今はクラウディなアウトローさ」
「おいおい、自分を過度に美化するもんじゃないぜトルク。ヒッキーで、ムッツリが抜けてる」
「相変わらず口が酷いな。人聞きが悪い。盗聴でもされてりゃ変な噂が流れちまう」
「何処のどいつが盗聴なんかするんだよ」
「世の中には変わり者がいるもんさ」
「それもそうだ。ムッツリを相手にするようなマニアがな」
「アウトローだって言っただろ」
「次にローグランへ行くときはお前の嫌いな人参とほうれん草をシャーベットにして届けてやるぜ。勿論全部露地物だ」
「悪いな。そんな高価なもの。だが間に合ってる」
「大量にな。野菜は体にいいんだ。うちのひい婆さんが口癖のように言ってた。墓石にも書いてある。全部食い終われば死にたくても死ねない体になってる」
「嘘つけ」
アンドジョンはニヤリと笑いさらに両手を肩の高さで広げて大げさに首を振った。
(長くねえな、奴は。次のパートナーでも探すか)
自称売出し中のコラージュ職人アンドジョンは通信を閉じた。




