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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第8章 薔薇の殺人許可書
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(7)

 「じゃあ上着と靴がほしい。かっこいいやつ」

 「今度は極端に現実的ね。」

 「ローグランでヒッキーしてると、まともな服なんて必要ないんだよ」


 「なるほど・・・まともじゃない服・・・普段は防護服とか宇宙服とか・・・」


 「ローグランを何だと思ってるんだよ」


 「それじゃあ・・・普段はぼろきれ・・・それともハダカ・・・ってことでいいのかしら」

 「・・・そんな訳ないだろ」

 「先進文明都市にもそういう嗜好の人は少なからず・・・」

 「ち・が・う。ちゃんと服着てただろ」


 「まあ、いいわ。服はまかせといて。それから一応言っておくけど・・・その端末はパーソナルID無しでは動くはずないんだけどね」

 「自分のパーソナルIDは持ってないけど他人のモノは三つほど持ってる。親切な人が良心価格で譲ってくれたんだよ」


 「あきれた」




 高層ヘリポートからはチャネルローズが一望できる。


 多くの高層建築はその中層まで促進緑化で覆われていた。

 気温が上がる日の朝は大量に水蒸気が放出され、朝霧でチャネルローズは朝日の散乱と流れるもやに包まれる。

 そして高層ビルが幾つも霧から顔を出していた。

 

 「準備はいい?行き先はステーツでいいのね」


 そう言いながらサルナは何やら詰め込んだショルダーバックを肩に掛けた。

 画面をタッチし、行き先座標をセットしたブックタブを確認する。

 トルクが医療ラボに搬送されてから3日が過ぎていた。


 内務省のヘリポートに立つ二人。

 到着は医療ラボのヘリポートだが出ていくときは内務省の大理石仕様のヘリポートだ。ぴかぴかに磨き上げられている。


 しゃんとしたサルナに病み上がりで貧相でだらしないトルク。

 傍目には婦人警官と補導された少年。

 風に煽られサルナの髪がなびいているしトルクはブカブカのトレーナーを風に膨らませていた。


 「ステーツの中心部までは行けないわ。パラシュートなんて無理でしょ。私はかまわないけど。まあ都会だからヘリも使えないわね。生保会社のヘリポートを使って地下鉄から接近っと。いいわね」

 再びサルナはブックタブで何かを確認している。


 「だってまだアーノルドの死体も出てないんだろ。なにか殺し屋の手がかり見つかるよ」


 「それは綿密なサーチングアルゴリズムの結果。それとも心当たりが?」

 「野生の勘さ」

 トルクはサルナから貰ったジャンパーを回し着た。

 「野生児だったなんて情報は聞いてないわ」


 静音モードから切り替わったMAVは高周波を響かせてサルナの声をかき消した。

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