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「必ず殺さなければならない訳じゃない。後一つこれが重要よ。まだ言ってなかったわね。今後彼が、トルクコンカラットが世の中に、この世界に害を及ぼすような人物だった場合よ」
「そんな・・・。ファジイ過ぎます。ますます判らなくなりました。受けかねます」
「内務省のフリスビーと囁かれるあなたらしくないわね。これは命令よ。これを申請する為に2日しかかからなかったわ。通常数ヶ月かかるのに。この任務の重要性を表しているわ」
「ふっ、フリスビー?、どこからそんな・・・もしかして・・・それはゆっくり飛んでいって回収できないっていう・・・内務省の故事から生まれた・・・」
「あら、知らなかったの。みんな言ってるわよ。あと代々語り継がれる言葉によると内務省のフリスビーは犬も取りにいかないのが常識よ」
「どこから・・・・・・あっ、あれは・・・あれは班長が暗号間違えて・・・」
「そんなことじゃないわ」
「い、いやっ、じゃああれかしら・・・指揮官がいやらしいからちょっと投げ飛ばしたら・・・」
「おしいわね」
「うーん、オートパイロットのMAVが間違えて着陸しちゃったから・・・勢いで」
「幾つあるのよ。あなたの武勇伝は。オートパイロットがどうやって間違えるのよ。とにかくこれは命令よ」
「もし私が判断を誤ったら・・・。世界に害を及ぼすかどうかなんて・・・どう判断すれば」
「判断はあなたに委ねるわ。太古から重要な政治局面には当事者の主観が存外影響するもの」
「そんなに重要な政治局面なのでしょうか?」
「ん~っ、ほんっと察しの悪い人ね。立場上私の口からは言えないわ。何れわかると思うけど」
「・・・・・」
「大丈夫よ。フリスビー・・・じゃなかった敏腕捜査官でしょ。ちょっと天然だけど」
「天然は許容できますけどフリスビーはやめてください」
「何でよ?」
「古臭すぎるし、なんとなく気が抜けるし・・・それに大体は早めに帰ってきます」
「そうかしら。昔見た青春映画。教会で式を上げるカップルに昔の彼氏がフリスビーを投げるシーンを思い出してキュンと来るのに。変なとここだわるわね。ああ、それから一つ忠告しておくわ」
「なんでしょう?」
「わかっていると思うけど・・・暫く彼と行動をすることになるけどくれぐれも感情移入しないように。上手く操るように」
「上手く操るように・・・ですか。それって・・・例えば・・・色仕掛けとか・・・」
「色仕掛け?なにそれ、そんな高等テクニックが使えるなんて聞いてないわよ」
「それはそれで・・・寂しいような・・・」
「始末するとき照準が鈍るわよってことよ。でもちょっと待って、あながち・・・いい考えかも・・・」
ケリー長官が下を向いてニヤリと頬を緩めた。なにか良くないことを思いついたようだ。




