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「ついでに教えてくれ、なぜ俺はサルバドール財団に狙われたんだ」
「ここ数年の間にアカデミーをはじめ、ノエティカやセレブラム等のコミュニティのニューブレインといわれる人たちが・・・恐らく、確証はないけれどサルバドール財団に殺されてるわ」
「コミュニティには昔在籍してたけどな。とっくに関係ない筈だ。とうの昔に除籍されてる」
「正確に言うと財団の中でもタカ派参事、キムの手先によるものよ。これはないってくらい残酷に、あるいは無様に、または優雅に・・・」
ケリー長官がゾーンに入りかけている。
「ニューブレインとか言われても思い当たる節もない。そのキム氏ってのは何がしたいんだ」
「自覚はないかもしれないけれどミスターコンカラット、あなたもニューブレインの1人よ。セレブラムだったかしら」
「いや、セレブラムメンサじゃない。元ルーメンだ」
「あら、私としたことが。ルーメンの方が歴史があるわ」
「どちらも代り映えしないよ」
「でもね、どちらでもいいのよ。逃げられないのよ。逃れられないわ。ああ、それは定め。決して抗うことのできない運命なのよ~」
ケリー長官は両手を斜め上に広げ、天井を見上げ、突然自分に酔うというか、ゾーンに入って続けた。
「理由は定かではないわ。ほんと、定かじゃないの。サルバドール財団はコーラマバードの膨大な知的所有権を管理している。だからと言って邪推や憶測はしてはならない。そこはぐっと堪えるのよ。そこは」
「いい加減にしてください。つまらないです。長官。もう時間がありません。面会の予定時間が終わります」
サルナは長官をゾーンから連れ戻す。
「ただひとつ確かなことはコーラマバードはサルバドール財団と深い繋がりがあるの。今回のワームホールテロ予告との関係性は不明だけど」
「それって、ワームホール起動を阻止できる人間を片っ端から殺害しているんじゃ・・・。でもそうするとあらかじめワームホール起動予告がくることをあらかじめ知ってたことになる・・・」
「そおねぇ。起動予告より前からサルバドールはそれを見越して活動していることになるわねぇ」
「コーラマバードはサルバドール財団と深い繋がりがあるんだろ。グルなんじゃないか」
「可能性が無いわけじゃないわ」
「でもそもそもなぜキム参事とコーラマバードはワームホールを起動させる必要があるんだ」
「そうです。サルバドールのタカ派には過激な改革派がいると聞きます。世界の再構成を目論むような。しかしコーラマバードのすることは理解不能です」サルナが下を向きながら疑問を呟いた。
「すべてが仮定の話よ。コーラマバードは破壊願望を持つような人間ではないわ。むしろ偉大な人格者との呼び声が高い。ワームホールを起動せざるをえない危機的状況にあると考えるのが妥当ね」
「何者かに脅されているとか・・・も考えられます」サルナが加えた。
「私には神とかマスターと呼ばれる人間がそこまで追い込まれるような事象が存在するとは到底思えないけれど。まあ、コーラマバードに会えれば総てが判るわ。見つかればだけれどね・・・というか見つけてもらわなければ困るのよね」




