(1)
サルナが戻ってきたのは3日後のこと。
屋上で監視衛星に捕捉されたサルナはヘリに救助される。
サルナが戻ってきたころにはビルの入り口に投げ出されていた内務省捜査官の男×3は既にいなくなっていた。
意識を取り戻したころには道成寺伯父麿一味に身ぐるみ剥がれていたが。さすが鍛え上げたエリート捜査官。どうやって帰ったかは知らないけれど。とりあえずみんな無事だったようだ。
多少記憶を失ってるかもしれないけれど。
ルームフィックス×4はトルクが没収した。
ビルを見上げ、ライフルを構えたサルナはピンクのイヤーマフを着けている。
自分が3日前に侵入した5階の壁に向かって強烈な音響炸裂弾を嬉々として打ち込んできた。
正しい攻撃方法だ。
回遊センサーも実弾には効果を発揮しない。あくまで対人防御システムだ。
しかし音響炸裂弾は音を出すことが目的で攻撃の意図はない。
凄まじい音がビルを傷つけることなくビル全体を揺すぶっていた。
トルクは思わずベットから転げ落ちる。
(もっと早く再訪するものと思っていたが結構遅かったな。逮捕に来たにしてはアプローチが中途半端だ。内務省ってそんなに人権意識高かったっけ。まあ、今の体調じゃあ十分に致命傷になりうるけど。くそっ・・・)
「トルクコンカラット、あなたを確保し、まーす。おとなしく投降しな、さーい。おとなしく投降すれば手荒なまねはしま、せーん」
「もう、十分手荒いよ」
(もう少しでベットから落ちた衝撃で骨折するところだった。無視だ、無視。こういう輩は無視するに限る)
「早く投降しな、さーい。次は実弾を打ち込むわ・よ~~。無視しないよーにー」
(ウソ、心の声が聞こえた。まさかね。無視だ、無視。殺すなら殺せ、逮捕は嫌だ)
「いるんで・しょー。顔を出しな・さ~い」
サルナは再度音響炸裂弾を打ち込んできた。楽しそうだ。
(あの女どこかおかしいんじゃないのか)
パラパラと壁が剥がれる。同時に腰に激痛が走った。なんとか身体を引きずって窓から外を見る。
「いい加減にしろ。早いとこ拘束するなり、殺すなり好きにしろ」
「いるんじゃない。早く出なさいよ」
迷彩柄ミニスカートスーツのサルナ。
右手にライフル。左手に黄色い拡声器。
先回と同じく上着は少し小さめなのか大きな胸がスーツの中で歪んでいるように見える。
「うるさい。拘束したけりゃ早くしろ。死んじまう」
「あら、死にたかったんじゃないの」
「どっちでもいいからやめろ。出たくても出れないんだよ。さっきの衝撃で腰打った。動けん。(情けない・・・。声に力も入らん)今遣いをやる。そいつについて来い。センサーも解除できない」
声も絶え絶えに叫んだトルクはそのまま窓から崩れ落ち床に仰向けになった。
暫くすると壁をすり抜けるように1匹の四毛猫がビルの前に現れた。
サルナと視線を合わせると「にゃあ」と一声発した。多分ついて来いと言っている。




