(2)
ポールとポップが捜査官A、Cの胸を小突くと捜査官A、Cはかなりあせり始めた。
捜査官Bに至っては一番腕に自信がないらしくはなから降りようともしない。ジープの中で様子を伺っている。
「ちょっ、ちょっと待てっ、いっ、いま銃を出すから」
捜査官Aが銃を取り出すのをポールもポップも待ってはくれなかった。再度小突くといとも簡単に捜査官AもCも尻餅をついた。
(何でこんな奴らしか残ってなかったのかしら)
サルナは大きなため息を吐く。
ポールが続いてサルナを小突こうとする。
サルナはポールの右腕を取るとねじ上げ膝の裏から踵でポールの膝を折る。あっけなく膝を着いたポールは声にならない声をあげた。
後頭部には銃が当てられている。
「はい、はい、分かったから。案内するの、しないの、どっち」
「向こうです!」
ポップが素早く3番街を指差す。
「ちょっ、ちょっと待て!今のは無しだ。しょうがねえ奴らだ。ローグランで人をさがしたきゃ・・」
「撃つわよ」
言うより早くサルナは伯父麿の葉巻を撃ち抜いていた。
「うおっ、卑怯じゃねーか。いきなり丸腰の人間を・・・」
伯父麿は目を見開く。
「上着の膨らみはなによ。撃つわよ」
次はわき腹の銃に弾丸が当たり鋭い金属音が響き渡る。
「はやっ、はやい。撃つなっ、撃つなっ。待てっ!」
「撃つわよ」
伯父麿の肩に載った羽が飛び散る。
(やばい殺される・・・)伯父麿は眉間に冷たい汗が伝わる。
「あなたもしかしてミスター・伯父麿?」
サルナはどこかで見た顔であることを思い出した。そう、指名手配犯の顔写真だった。
サルナはブックタブを取り出すと伯父麿の顔を見つけた。
「いっ、いかにも」
伯父麿は自分が指名手配されていることを知らなかったようだ。
「あなたには指名手配が出てるわ。自称道成寺伯父麿。本名山田ヤスオ。指名手配犯発見っと」
「ヤマダヤスオ・・・って誰?」ポールがポカンとする。
「ヤマ・・・ヤマダ・・・ヤ・ス・オ・・・」
ポールとポップが顔を見合わせる。そして伯父麿の顔を二度見した。
「さ・て・は・あなた本名隠してたわね。なんでよ」
「うっ、うるせい。その名で呼ぶんじゃねえ」
「なんでよ。ヤスオ。なんで・よ~」
「やめろ、きさま」
「ヤ・ス・オ・♡」
「うおー・・・やめてくれー・・」
頭を抱えて目が血走る自称道成寺伯父麿。地団駄を踏み始める。
「やっ、止めてくれ。アニキはその名前を言われると継母に虐められてひもじかった幼年時代を思い出すんだ。そして情緒不安定になるんだ」
一番付き合いの長いジャマイカだけは知っているらしい。
「まあいいわ。あなた捜査局の情報提供者を再起不能にしたわね」
サルナはブックタブをスクロールする。
「奴らが悪いのさ。これは曲げられねぇ。情報屋をするのはかまわねぇが奴らは仲間を売ったのさ。仲間を売る奴らにはケジメが必要だ。運び屋のアントニには女房、子供がいた。ひでえことしやがる。女房、子供もどこにさらわれたのか見つかりゃしねえ」




