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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第3章 道成寺伯父麿
15/35

(1)

 ゴーストタウンの中心部からやや離れた3番街の以前は歓楽街だったところに建つトルクの住処。

 昔ながらの雑居ビルで古臭い樹脂コンクリート造りだ。


 入り口は樹脂コンクリートの自動ドアで、光を屈折する仕組み。触ってみても一言さんにはまず入り口を見つけることができない。

 サルナは強引に穴を壁に開け入ってきたようだが。


 いつもは変な輩がやってくると道成寺伯父麿が連絡をくれるはずなのだがいとも簡単にサルナに買収されていた。

 名前とは裏腹に若干男気のある男なのだがいかんせん女に弱い。


 「ヒャッハ~、ようよう。オネーサン、ローグランの誰に用だい」

 サルナと捜査官A,B,Cのジープに立ち塞がったのはドレッドヘアの大きな男だった。

 男の名はジャマイカという。


 「トルクコンカラットと言う犯罪者を探しに来たのよ。案内してくれると助かるんだけど」

 「それはどうかな~。そんな奴はローグランにはいるかもしれねーし、いないかもしれねーし。昨日まで居たかもしれないが~、今日はわからね~。教えるかもしれねーし、教えねーかもしれねーし」

 「なんだか面倒くさそうね。それはどういうことかしら」

 「それより俺たちと遊ばねーか。男供は金目の物置いて来た道を戻りな。車は置いて速足でな」

 ジャマイカは目を見開いてサルナと捜査官A,B,Cを見回した。

 動じないサルナとは対照的に捜査官A,B,Cは揃って目を逸らした。

 「ジャマイカ止めねーか」

 ビルの陰から一人の男が姿を現した。


 この男が伯父麿と呼ばれる男。道成寺伯父麿。

 長身長髪で腕っ節もかなり強い。

 なんだか知らないがこういう輩は肩に羽のついた革ジャンを着ているものと相場が決まっている。葉巻も忘れない。

 「あなたが親玉ね。犯罪者を庇うと拘束するわよ」


 どうも困っている女性を助けていい感じになりたいみたいなのだが既に追い剥ぎの棟梁みたいになっている。

 まあ、実際そうなのだが。


 「親玉・・・いや、俺はそんなつもりじゃ・・」

 「サルナさん、危ない下がって」

 捜査官Aがサルナの前に立った。

 「サルナさん、危ない下がって。こんな盗賊私が懲らしめてやりますよ」

 捜査官Cが更に捜査官Aの前に立った。

 どうも捜査官A,Cは何とかなると踏んだらしい。

 彼らにしてみればかなり勇気を振り絞ったほうだ。多少格闘術にも覚えがある。


 「何だ、何だっ、いやっ、そんな・・・つもりは・・・」

 「見掛け倒しの輩は成敗してくれる」

 伯父麿がおよびごしと見るや捜査官Aがますます声を張る。

 「えーい面倒臭い、ポール、ポップちょっと痛い目見せてやれ」

 どうもいい感じになるのは早々と諦めたらしい。


 ポールがビル影から現れる。遅れてポップも姿を現す。巨漢のコンビ。二人合わせて約0.4t。

 見た目は凶悪そうだが結構気が弱いのが弱点だ。

 捜査官A、Cの血の気が引いていく音が聞こえるようだった。

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