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働き始めて見たけれど!?


 あれから数日。

 愛美は、結局リョウの事務所で働くことになった。

 

 これも何かの縁かな、と今は軽く考える事にしたのだ。

 リョウの知り合いで、もっと安く呪いを解いてくれる霊能者がいるかもしれない。

 どうせ無職だし、嫌ならとっとと辞めてやる! という気持ちだ。

 

 依頼が来るまでは自宅待機で、二日後に連絡があった。


「いいか、今日は古民家の霊障依頼だ。デラックスプランにアップさせるために、家主に好き好きビームを送れ! いいな!? お前の呪いで酷い霊障を起こすんだ。それに釣られて、原因の霊障も酷くなれば、的確に処理できる」

 

「うぅ……やってみるけど……」


「やってみるじゃない! やるんだぞっ」


「やりますってーの! うるさいなぁ」


 そして初任務完了……後。


「ごらぁああああ!! なんで好き好きビーム発動しねぇんだよ!? シンプルプランで終わっちゃったじゃねぇですかぁあああ!?」


「わ、私だって、あんな89歳のおじいちゃんに好き好き! なんて言えないわよ!」


 古民家の住人は一人暮らしの、老人男性だったのだ。

 霊障の原因は、老人の友人。

 リョウがなにかを唱えると、愛美にもハッキリと幽霊が見えて、おじいちゃんと一緒にひっくり返りそうになった。

 リョウの力は確かに本物だったのだ。

 友人は、つい懐かしくなって会いに来たらしい。

 おじいちゃんは『もうすぐそっちに行くよ』と泣いて友人に声をかけて、解決した。

 

「まったく~~! 使えないお嬢さんですねぇ~~!? ったく……報酬一万円は手に入ったから、今日はサロゼリヤでワインとスパゲッティとドリアだな……奢ってやる」


 わざわざ足を運んで、数時間。

 請求額が少なすぎるのでは? とも思ったが相場など知らない。

 

「奢ってやるって!! それ半分私の給料でしょ!?」


「あんたは、横で悲鳴あげてただけだろうがい! 全く……行くぞっ!」


「その日暮らし過ぎる……この馬鹿社長! 飲んだくれ! ろくでなしぃ!!」


 そうは言いながらも、サロゼリヤで赤ワインの特大デカンタを二人で飲み干し、あれもこれも食べてしまっている。

 リョウは自分の身の上話など、一切しない。

 愛美にも詮索などしてこない。

 でも、色んな事に詳しくて何やら話が尽きる事がない。


「私にしてみたら、あのエンディングは絶対無し!! 歴代主人公はあんな行動しないでしょ!? あの作品はシリーズのなかで最悪の黒歴史だと思うわね!」


「だから、お前みたいな古参がいるから可能性が失われるんだっつーの!  あのエンディングがあったから、続編の行動の意味に繋がったわけだしさぁ!」


「ぐぬぬ……! 店員さん~! 特大デカンタおかわり……!!」


「店員さん、フォカッチャと、スパイスチキンも追加で~!」


 アニメ論争に火が着いて、熱く語って、飲んで食べての大騒ぎ。

 そしてまた、気付いたら事務所で雑魚寝。

 愛美はソファで、リョウはどっかの床で寝ている。

 

 呪いを受けたのを自覚してから、男性=恋愛対象になってしまう……と思ってしまい今まで男友達は一人もいなかった。

 リョウはあまりに色気もないし、好きになる要素も皆無!

 なので安心してダラダラ付き合える。

 

「男友達ってこんな楽で楽しいんだぁ……って、まだ寝てるし~」

 

 さすがに起きてから自分の部屋へ戻って、二度寝してから支度する。


「なんちゅうダラけた生活……でも、こういうのもいいかも」

 

 呪いを避けるために、女だらけ仕事場でしか働いた事がなかったが心の負担が違いすぎる。

 本来だったら、こんな生活も不安しかないだろうが何故か今は楽しんでいる?

 女同士のドロドロとか、マウントとかが一切ない。

 そして、呪いを打破して結婚するために頑張ってる毎日!


 なんか悪くない……?

 

「あたまいてぇ~」


 数時間後にリョウが起きた。

 除霊は、色々と力を使うらしくリョウの睡眠時間は長い。


「ほらほら、ムコンのチカラ買ってきたわよ」


「お、気が利くじゃね~か。秘書」


「誰が秘書じゃ。ボケ」

 

 こんな言葉を男性相手に使うのは初めて。

 なんだか素がでてしまうけど、リョウの方がいつも素だ。

 ボケとツッコミみたいな、変に楽しい。


「じゃあ、夕方にね~」


「おう」 


 今日の仕事は夕方からだ。



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