五百円玉が転がって
「カメダ珈琲のモーニングでもいいよ? 私が奢ってあげる」
「まじ? セレブ~~! 愛美様はまだ三百万使ってないもんねぇ」
「なんかその言い方、すっごいキモい!」
そう言いながらも、二人は布団のなかで抱きしめ合って一度も離れていない。
「……っていうかさ!」
「なに?」
「リョウからなんにも言われてないんだけど……私から告白したのに、自分は何も言わないわけ?」
自分は告白したのに、リョウからは何も言われていない! と愛美は膨れる。
「はぁ? 散々、イチャついてる時に言っただろうが」
「ひゃ!? なに!? 変態な事言わないでよ!?」
「愛を囁きながら、愛し合ったでしょうが!?」
「し、知らない! 覚えてない! 何言ってるの!?」
全てが初めてで、余裕のなかった愛美は覚えていなかった。
恥ずかしさで、リョウの胸元から逃げようとするが抱き締められる。
「結婚すっか」
ドキリとした。
「えっ……うん、……そ、そんないきなりプロポーズ……う、うん……いいけど……結婚に興味ないんじゃなかったの?」
「乙女事務員さんが、したいならそれでもいいんじゃない?」
「なにそれっ!」
「あ、でも俺……婚姻届は出せないか……?」
「もう、そんな常識どうでもよくなっちゃった! 一緒にいれたら、それでいいよ」
婚姻届なんか出したら、銀我家の人がどう動くかわからない。
何から何まで規格外。
破天荒で、酒浸りで、金もなくて馬鹿だけど人情深い。
何より自分の呪いを、命をかけて祓ってくれたヒーロー。
きっとこれからも、一緒に笑いながら、自分を守ってくれる。
愛美もリョウを守っていきたい、そう思う。
「可愛いこと言うじゃんか」
「ラーメン屋の店長や、友達呼んで、結婚パーティーはしたいな」
「いいな。酒は飲み放題で!」
「もちろん!」
また二人で抱き締め合って、口づけた。
結局離れがたくて、布団のなかでビールで乾杯。
「いててて」
「今更なんだけど……もしかして、結構な大怪我してる?」
「ったりめーだろ肋骨何本か折れたし、擦り傷だの打撲だらけだよ! ……お前の村の祠どうなってんの。イテテテテ」
「えっ!? ちょっと、どうしよう!? 病院行く!?」
「な、わけねーだろ。まだまだ足りない。離れるわけねーだろ」
「えっ」
「愛してる、愛美……」
「んっ……リョウ、大好き……」
大怪我してるのに、激しく愛される。
やっぱり破天荒。
だけど、これからも飽きる事はなさそうな旦那様。
愛美は五百円玉が転がってから、色々グチャグチャあって、運命の愛を手に入れました。
fin
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