閑話
鹿児島市のとあるホテルにて
「馬……ってどんな数字が合うのかしらん」
薩摩郷土菓子を頬張りながら縁が呟く。
レームは其方を見ようともせずノートPCとにらめっこしながら応える。
「九だな。馬九行久といった験担ぎの語呂合わせがある」
「九はダメだなあ。十以上で」
「……何の話だ」
「あたしってば荒神に名付ける事があるのだけれど、憶えやすいように数字を付けるのよね。影鰐の黎は0でしょ、阿貫、阿厳の阿は阿吽の阿、つまり一って事でえ…」
「酷いこじつけだな」
「イイクニじゃなくなっちゃった鎌倉幕府とかと同じよ。自分が憶えられればそれで良いの。愛着も湧くしね」
「九番は埋まっているのか」
「そゆこと」
貴様の荒神は何体いるのだ、と好奇心が湧くも、ひとまず呑み込む。
「なら十一から十三。午の刻だ」
「ほうほう、それいいね。馬っぽい子が加わったら席をそこにしよう。名前は…うまんまら!」
ぶっと噴き出すレーム。
「どしたん?」
「いや…何故その名前を?」
「いやなんか語感が可愛怖いから。それに、美味しいよ?」
手にしていた郷土菓子をふりふり笑う縁。
「かわこわいなんて日本語あるものか。春駒にしておけ。その菓子元来の名前だ」
「えー、元来はうまんまらでしょ~」
「……貴様、由来を知っているな?」
「答える必要はない!」
どっとはらい