存在ちゃん_second(前日譚)
「お願いです!」
ここは教会。あるシスターが声を張り上げる。シスターの名前はスイッチちゃん。
「やはり嫌なんですけれど・・・」
丁重に断るのは小柄な少年。彼の名前は世界君。シスターは頼っていた。少年が持ちうる特殊能力を。
それには代償が伴うことを知らずに。
人類史において究極の課題それは何か?平和だ。永遠に思える年月を得て尚かなうことのない平和・・・
彼の一言でそれは成就しうるのかもしれないし、しないのかもしれない。
ただ彼が懸念するのは言霊を発するときに伴う代償のほうだ。
大切な存在が消える。
彼の言霊にはそんなデメリットがあった。
なんでも具現化できる代償だ。
何でもないように見えて個人的にはとても辛い選択を迫られる。
それを知ってか知らずか噂は独り歩きするものだ。
その結果今に至る。
シスターは平和を願いその噂を頼っている。
シスターにとっては藁にもすがる思いなのだ。
「もし噂を頼っているなら一言申し上げます・・その願いを聞き届けたとして叶うかは運次第ですよ?」彼は言った。
「それでも充分です!」シスターは答える。
「仕方ないですね・・・一度だけですよ?」彼はしぶしぶ願いに応じる決心をした。
それが後に彼にとっての悪夢になることも知らずに・・・