七話 空いていたはずの席たち、ふと見る、埋まっている、なんで?
土日明け。
とてもホワイトな学校なので、
休日出勤はなく、
いつも通りのスカスカな電車と、
もしゃもしゃの頭と共に、学校へ向かう。
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学校に到着後、教室にまりも君と共に向かう。
入り口を、音を立てずにスッぅぅーと開け、
正面から見て窓側の席の、一番後ろに座る。
最近席替えがあり、まりもくんは一番前の席に行ってしまった。
ので、限界ぼっちである。
だが、安心して欲しい。
もちろん、まりも君も同類なのだ。
お互いどうせ同じだろうという、謎の安心感が、ぼっちという現実を掻き消していた。
そして何故か、隣の空いているはずの席に、手提げが掛けてあった。
「ガタッ!」
扉が開く音がした。
扉の方を見ると、ヌルッと男の教師が出てきた。
キリッとした顔立ちなのに、ゆるっとしていて、親しみのある雰囲気を、醸し出している。
担任の古館先生だ。
重低音、イケボイス、高身長の三拍子揃った、人気の高い先生だ。
女子格付けランキング二位、歳は四十三歳。
因みにこのランキングは、クラスで女子が話しているのを盗み聞きしたらしい。
それも寝たふりをしながら、耳に全集中して、
吐息も漏らさず聞いていたそうだ。
なんという醜態を意気揚々と晒しているのだろうか。
会話をする旅にキモさが増し、貯蓄され、好感度は返品されていく。
なんという気持ち悪さ。
えもいわれぬような、キモさだ。
いや、そんなことはどうでもいい。
まりもの事など二の次、三の次だ。
肝心なのはランキングだ。
ふむ。
ふと、女子高生はぎり射程圏内なのだろうか?という疑問が浮かんでしまった。
大丈夫かな?
いや、少し危ない気がしなくもないような、
それに年下好きと言っていたような......。
.......。
いや、大丈夫だろう。
そこは大人だ。
手を出すなんてことは、しないだろう。
教師だぞ?するわけがない。
...しないよな?
とりあえず、そんな重低音イケボイス先生が入ってきて早々に
「えぇっ、このクラスにぃ転校生が来る。」
なんてことを言い始めた。
何故か耳元で囁かれてるような気がして、むずむずする。
予想はできていた。
というより、香夜から聞いていたから、分かっていたのだ。
名前は、、、と言いかけていたところで、「バンッッッ!」という音が聞こえた。
破壊音とも、銃声とも言えるような爆音だった。
明らかに、ドアから出るはずのない音。
先ほど、先生が閉めた音と音圧が明らかに違う。
…こう、例えるならば銃声の音のような、、、
とうとう日本も銃社会になってしまったのかと、思慮していると、扉が開く。
すると次は「バコォッォォン!」という工事現場の爆音が聞こえてきた。
すると彼女は扉から、威風堂々と登場した。
見た目はいばら姫のようにお淑やかななのに、雰囲気は野獣そのものであった。
何故かその姿と雰囲気に既視感を覚えるのだった。