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五話 慣れてしまった深夜起き


 「ぶるるっ、ぶるるるっ」

 

 携帯のアラームが鳴る。


 今日も今日とて、深夜に起きる。

 半年くらい続けている深夜起きにも、かなり慣れてしまっていた。

 

 かなり、じめついている部屋で、慣れた手つきで鍵や携帯などをもち、、、

 

 おっと、忘れていた。

 

 この前会った時、「なんか食べたいものってある?」と聞くと、「ケーキッ!!!」と即答してきた。 

 犬が尻尾をブンブン振る様に、香夜にも尻尾が生えていたら千切れんばかりにふるだろう。

 

 というわけで、今回はとろめかコンビに不平等な割り勘を払わせられた為、

 かなり残り少ない残金で葉をぎしぎしと、

 擦り切れんばかりの力で歯軋りをしながら、

 苦悩して買った、チーズタルトを持っていこうと思う。

 

 この真夏のクソ暑いなか、持っていくとなると、おそらく、というかタルトがダメになってしまうことが目に見えている。

 

 ので、今回は保冷剤をびっしりと敷き詰めた手提げバックの中に入れながら向かおうと思う。

  

 ガチャっとドアを開け、扉を閉める。

 誰もいないと分かっていながら、

 「行ってきます」と呟いてドアを閉める?


 今日は暑くて湿度が高いはずなのに、外の空気はやけに冷たく感じた。




---

 



 

「遅いじゃないッ!!!」

 

 早速到着するなり怒号が響いてくる。

 もうちょっとくらい労わってくれてもいいのに……グスン、

 

 曇り空の雲と雲の間からは月光がこの場所だけに差し込まれており、

 彼女の美しさをより一層、際立たせるための脇役になっている様に見えた。

 

 そんな彼女は今、ケーキを口の中にリスの様に口いっっっぱいに放り込みながら、喰らい尽くしている。

 

 「美味しいぃぃッ!!!」

 

 普段からは想像できない様な口角をにぱっと上げ、眉を垂れ流しながら幸せそうに食べている。

 

 彼女の感情をストレートに伝えるという、自分を持っているというところが、

 とても可愛く見えると同時に羨ましく思えるほど美味しそうに食べてくれた。


 いやぁ、、持ってきてよかったわぁ〜


 「蒼も食べるでしょッ!!?」

 「え?いいの食べても? てか、くれるの?本当に?後で請求書送りつけてきたりしない?。」

 「するわけないじゃないッ!これは蒼が買ってきてくれたものなんだから当然でしょッ!!!」

 

 そういってスプーンで少しカリッとした部分と、クリームをいっぱいにすくって、俺の目の前に差し出してきた。

 

 「んっ!!早く食べてッッ!!」

 

 そう言って急かしてきたので、遠慮なくばくっと食べた。

 

 「んっ、めっちゃ美味い!」

 少しとろけているチーズの部分とカリッとしている生地のマリアージュがすんばらしい!

 とても、エキサイティングな味だった。


 香夜はお腹いっぱいになったのか分からないが、さっき言った言葉に「そう、よかったわ」と言いながらそっぽ向いてしまっていた。

 

 頬杖をつきながら、少し目線を上にして空を眺めていた。


 まだまだ、眠り姫の夜は終わらない。





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