一話 夜に起きる
俺は夜十二時に起床する。
せかせかと身支度を整えて、あったかいジャケットを着て、家を出た。
うん、とてつもなく寒かった。
息を吐くたびに白い息がでるし、手が凍りつくように寒い。
控えめに言っても最悪だ。
こんな極寒の日に外へ行くなんて頭がおかしいと思うだろう?
もちろん頭はかなりスカスカだがちゃんと理由はある。
眠り姫に会いにいくんだ。
一日中ほとんど寝ていて、動かない。
つまりだ、俺が憧れているニートというやつだ。
現実はラノベのように上手くは行かない。疲れる事ばっかりだ、そして何よりも、、、
ヒロインがいねぇ、なんでだ、なぜなんだ!
白髪長身美女がいねぇ。
出来ることなら転生してぇよ。
そんな情けないことを考えているといつのまにか公園に入っていた。
ふと視線を右にそらすと出雲水上公園と書いてある。
隣に隣接されているのは、 未だ解明されていない病気や、
病などの患者を受け入れている、出雲難病治療センター。
大きな湖を中心に、子供用の遊具や草木が芽生えているこの公園は、
病院にいるお年寄り達のお散歩コースによくなっているらしい。
この公園は個人的にあまり好きじゃない。
なぜかというと、この公園はでかい。
ありえんくらいでかい。
一周するのに30分くらいかかる。
長すぎる公園だったのだ。
行く前に用意していてたココアを飲みながらトボトボと歩いてく。
この公園は水辺に浮いているように見える建物がある。
なんか屋根がついてるベンチ?テラス?みたいな。
あれは、なんていうのだろうか、
うーん………………??。
熟考の末出た結論は分からないだった。
もっと勉強をしとけばよかったと今更ながら思う。
水辺に浮かぶ一本道を歩いていくと一人の少女がいる。
あれだ。あれが、眠り姫だ。
後ろ姿が見える。
長いロングヘアーに、いかにも外に出てないだろうと感じる真っ白い真冬のような肌。
例えるならば......そう...雪女のようだ。
ひたすらに冷たい雰囲気を纏っている。
とてもか弱そうに見えるのに、
何故か恐怖をかんじる後ろ姿……。
ふと、携帯を開いてみる。
時刻は十二時五十分。
待ち合わせの予定時間は十二時五十分と約束をしていた。
彼女から何度も「遅刻したら許さないからねッ!」と念押しをされていたのを思い出す。
顔から血の気がすぅーっと引いていくを感じる。
おそらく俺の顔は今真っ青であるだろう。
二十分ならまだ分かる。
だが時刻は五十分、俺なら間違いなくブチ切れるであろう時間。
無論、心が広く、笑いながら許しを済ます人も居るだろう。
だが、彼女はそんな人たちと対を済す存在と言っても過言ではないだろう。
終わった。
確実に終わった。
今日確かに時計のタイマーをセットしておいたはずだった。
そう、筈だったのだ。
何故だ、なんでなんだよぉ!
いや、そんな事を行っている場合じゃない。
どうするべきか、頭をフル回転させて、解決策を考える。
いや、俺は悪くない。仕方が無いのだ。落っこちた時計が悪い。
ならばやるべき事は一つ。
…………
すっーと後ずさる。
確かに、中身のないすぐに語りつくせる人生だが、俺とて、もう少し長生きしたい。
だから息をのんで音を殺す。
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏.......
刹那、嫌な予感がした。
息を呑む、自分の息遣いがかなり聞こえる、心臓がオーバーでデットな鼓動を鳴らしていた。
「プルルルルルッッ!」
爆音が鳴り響く。
最悪だ。lineの着信音が響き渡った。
騒音、爆音、静寂の夜の中響き渡った。
何故、マナーモードにしなかったのかということが悔やまれる。
もう逃げも隠れもしない、後ずさりもしない。
...ようし、来るなら来やがれ、逃げも隠れもしないぜ、やってやんよ!
という心持ちで立っている。
けっして口には出さない。これが重要。
その女はこちらを向いてしまった。
目が合った。
こちらに近づいてくる。
次の瞬間右手でビンタ。
左手で張り手。
既に顔面は崩壊を初めていた。
プツッと糸が切れたように、俺の意識は飛ぶ。
享年17歳ここに眠る
思い付きで筆を走らせているので、至らないところもあると思いますが、応援してくださると嬉しいです。
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なので、お時間ある方、どうぞよろしくお願いいたします。