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時の遺伝  作者: 砂土蛾
第一部 デビルズ・プログレス
6/6

改訂前 悪魔対戦1

「悪魔が現れました。」


「よし。戦車と戦闘機を出せ。その間に、第1班の戦闘準備をしろ。」


《第一班出撃準備》


少年は、穢刃の前で待機していた。横にはめ迷彩帽子と、その他3班の隊員が並んでいる。班長は受付の男で、その下には九人が付いている。この作戦は、以下の通りだ。


「第1班、出撃準備完了。」


《オールオーバー》


天井の鉄板がスライドし、暗闇が出現。ガチャンと音がした瞬間、穴に付けられたライトが光出した。一番下には赤い1つの目が覗き込んでいる。シュルルルと鉄と鉄が擦れる音と共に1機が上空へ投げ捨てられた。その後、2、3、4…と続き、総十機の機体が空に並んだ。


「あいつが悪魔か。」


こんな山奥でも分かるほどに東京が赤く燃えていた。銃を盾に隠しながら、悪魔の戦闘区域までバックパックの炎で飛んでいった。その加速していく姿と赤い炎の残像は、まるで彗星の様である。悪魔の戦闘区域に入った途端、1機の盾が赤く染まった。その一瞬で悪魔が攻撃を放って来たのだ。少し溶けて使い物にならなくなった盾を捨て、バックパックに装着された盾を装備し直す。これは、消耗戦である。


悪魔は律儀に全ての戦車と戦闘機を壊してくれたおかげで3分の2ほど炎の大きさになっている。街中に潜り込み、対悪魔用の穢刃の大きさに見合うライフルで悪魔に攻撃を放っていく。しかし、悪魔は平然と其れを焼き払っていき、ただの鉄の塊にしてしまう。絶望を覚えながら、街を進んでいくと、横から悪魔の炎が襲ってくる。


「うおっ」


1機の盾命中し、また盾を投げ捨てた。1個、2個3個…そして、退避推定数を超えてしまった。10機がほぼ四つ失ったため、40個無くなった。


「退避します。第2班の準備お願いします。」


そう言って、班長は離脱航路を進んでいく…が、1機悪魔の土槍によって刺され、金縛り状態になってしまった。高度を下げすぎてしまったのだ。一気に3機が命中してしまい、そのまま、なす術もなく悪魔の炎で焼き払われた。嫌だ。死にたくな…と、痛みを感じる隙も無く死んでしまった。班長は、自責の念を抱きながらも、悪魔に注意し高度を安定させる。


そのまま第2班と交代し、第1班は場を後にした。


《第Ⅱ班壊滅、第4班出撃》


《第4班壊滅、第5班出撃》


その報告が来るたび、今がどうなっているのか不安になる。壊滅というのは、作戦では、装備品の活路であるが、壊滅は全滅の時も使われる。装備品の活路ということはわかっている。だが、その全滅という言葉が頭によぎってしまう。


「もうすぐ俺らの番が来てもいいんじゃないか?」


「馬鹿言え、悪魔のエネルギーの底はわからないんだ。」


迷彩帽子は「…」と言う感じで間が空いた後、首を傾げてキョトンとした。


「と、言いますと?」


全て話さないといけないのかと、溜息を吐きながら続けた。


「はぁ。ちゃんと説明聞いとけよ…。悪魔のエネルギーを底に付かせるために僕らは今出撃してるんだ。でも、その底とやらがブラックボックスなんだ。だから、何班で底が着くのか未知数なんだ。1から2班になって俺らの班を飛ばして4…って続いてるのは、そう言う事だ。」


合点承知という顔をしながら、手をポンと叩いた。説明してくれてどうもありがとうと言う様に帽子を取って頭を垂れた。あぁ、そういえば迷彩帽子、確か計画説明で居眠り扱いてたっけ。迷彩帽子をその時は被ってなかったからわからなかったな。


《第Ⅷ班壊滅、第Ⅲ班・第Ⅹ班出撃準備に取り掛かってください。》


「出撃準備に総員取り掛かれ!」


班長の怒声にビビりながら、コックピットに乗り込んだ。コックピットに乗り込み、closeボタンを押し、人の心臓部分にあるコックピッドを閉じた。一瞬の暗黒を体験した後、ピピピという電子音と共に頭を穢刃にハッキングされた。いや、シンクロというのが正解だろうか。


赤いヘッドライトから、この基地を見ることができる。盾を予め装着し、バーニアの点火を確認し、準備を終わらせる。


《藤岡、オールオーケー》


《迷彩、オールオーケー》


他八人の掛け声が終わった後、すぐに報告が入った。


《第Ⅸ班壊滅寸前、至急第Ⅹ・Ⅲ班、出撃せよ。》


ドキリと心臓が唸った。緊急地震速報と似ているかもしれない。平穏な日々を不安と絶望を与えるような出撃命令であった。出撃ボタンを右腕を伸ばして押すと、機体が揺れ出した。


出撃ボタンは、アームによって肩の突起を掴み、持ち上げ、そのまま鉛直に穴が空いた出撃航路へ動かす。その後、穢刃のバックパック点火を期にアームが地上へ放り投げる。それが、それこそが出撃なのだが、この出撃はちと横暴で乱雑である。一気にⅩ機体を出撃させるのだから、仕方がないと言えば仕方がないのだが、時々機体の揺れで吐き気を催すので出撃はトラウマが残っている。


「第Ⅹ班、出撃します。」


《オーバーオール》


《バックパック点火・バックパック点火》


第Ⅹ班が、先に航路を通りバックパックを点火。上にスライドする様に機体が出撃された。


「やっと俺達の番か。お?藤岡、怖いのか?手が小刻みに震えてるぞ?」


「俺もお前みたいに死への恐怖が欠損してれば、もっと楽だったかもな。」


「お褒めの言葉、しかと預かりました。」


「褒めてねーよ。しかし…なんでお前はそんな死が怖くないみたいな顔を戦場をまじかに出来るのか不思議で仕方がないよ。」


「そんなの、簡単さ。自分の戦闘技術を自尊するんだよーーー」


《バックパック点火、バックパック点火》


先頭の班長が上にスライドして行った。次は、俺の番だ。心臓がバクバクと呼吸している。


《バックパック点火、バックパック点火》


その音にビクッと反応しながら、バックパックを点火した瞬間、強烈なGによって夢境に迷い込みそうになったが、幾度となく訓練をして来たためそれを耐え、スルリと空中に投げ飛ばされ、気分が最悪に帰した。気分が良好になってくる頃、ⅩⅢ班のそれぞれが全部空中に出た。


「陣形を整えよ。三角を保ち、ブレーダーを死守しろ。」


「ハ」


Ⅹ機体は、それぞれ4つに分かれた。Ⅹ班の3つの機体で前方を守る様に三角の底辺以外を形成し、中心、底辺をブレーダーを置く。それによって、近距離用の機体を悪魔戦闘区域にまで入れることが可能になる。他1機は、単独で悪魔の気を引くために先に出撃している。


その機体は、奇人と評されるほどに狂った戦法を披露しながら、器用に不意を突くJAD最恐の兵士である。悪魔にも通用するかが一番の難点ではあるが、何故か心配は浮かんでこない。


まずは、自分の安全だからと言うのもあるが、一番は彼がJADの機体訓練で見つけることのできる欠点が1つしかないことだと考えられる。


「奇人は、人智を超えた戦闘をすると言うが、悪魔に対応出来るのかが見かねるな。」


そう人智を超えた存在であるからこそ人にはどう言う戦闘をするのか想像すら出来ないのだ。一度コンピュータ演算での戦闘をしたことがあるが、まず弾が当たらないので苦戦したことを覚えている。策を講じてやっと同点だった。その作戦を計画したからなのか、Ⅹ班ではなくⅢ班に入れられた。その所為で今震えているのだ。死は怖いが自分の所為で、この世界が滅びるというプレッシャーが自分の荷を重くしている。


「合併班、装備を確認し、Ⅹ班の単独機エクスプローションに合流せよ。」


「オールオッケー」


その奇人が乗る機体には個体名が付いている。エクスプローション…爆破と言う意味の英語である。安直だが、そこにも奇人っぽさが出ている。班長機にも個体名が付いているのだが、普通個体名は家族や恋人友人、または息子の名前が殆どであるが、彼は爆破を選んだ。


まあ、格好良いからという理由も含んでいるのだろうがーーーーーーーーー


「目標発見。戦闘区域に入ります。」


目の前には、紅く凶々しい因縁の相手が立っていた。いや、適正には戦闘中だが…確かに禍々しく空中をバックパックも付けずに浮遊していた。地上には、爆破の個体名を持つ機体がビルの陰に隠れつつ銃を撃ち、不意を突くことがボチボチある。其の弾は、悪魔の腹部を打ち抜いた。そこから、何かがドバっと出た。その時、計画者:多田利光の発表した重大な話が頭をよぎった。隊員試験が終わり、選抜が終了した時に話されたことである。


「悪魔のコアを断ち切ることが、この作戦に関わる機体の第一目的だ。」


他の目的は、この第一目標が失敗した時に初めて構成される物であるため第一目標だともいわれたこの言葉。そう、コアを打ち抜いたのだと思われる。


「彼奴やりやがった…すげえな。」


「いえ、コアの量ではない。まさか…エクスプ…ッ!?」


爆破は、名の通り炎の斬撃によって桜のように火花が飛んだあと、バランスを崩してビルの上から徐々に下に落ちて云った。地面に落ちると、炎が燃え移り…爆破した。


「あれは、オトリです。ですが、掠った可能性も有りえますね。」


「やはり、悪魔には知能があるのか…厄介だな。」


「陣形を整えよ。これより、[第一目標:悪魔打倒作戦の最終工程]に取り掛かる。悪魔のエネルギーも徐々に小さくなっている。悪魔が疲労している間にブレーダーでエネルギーコアを断ち切れ。」


「了解」

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