改訂前 悪魔の類
ドアが開くと、小さな駅と周りに広がる森があり、着きこれから戦いが始まるというのを感じさせない非現実感があった。戦いの前の静けさという奴だろうか?
「はい。皆さん私についてきてください。」
少年は、立ち上がり老人の先導を任された身として声を上げた。駅を出ると、森の中に入った。森を進んでいくと、ライトが1m間隔で横100m、縦60mの長方形の鉄板の淵に付いている。トランシーバーで、«第3班目的地到着»と報告すると「オールオッケー」と声が返ってきた。数秒後、森が騒がしくなった。鳥の逃げる声と共にその長方形の一部が左右にスライドした。そこには、螺旋階段が収納されている。コツコツと下に少し下がると、エレベーターが出現。東京タワーに備え付けてあるエレベーターのように広かった。
そこに全員乗ったことを確認し、B10というボタンを押して地下へともぐりこんだ。
「はい。つきました。足元に注意して降りてください。」
エレベーターを抜けると、そこには天井まで伸びたマンションと、緑の道がある。少し進むと、受付の男が立っていた。「後は任せろ。」と云って老人たちをどこかへ連れて行った。老人ホームにでも持っていくんだろうか?老人の対処については少し気になるところだが、迷彩帽子を連れてB5へ向かった。B5で、JADの開発した《穢刃》の試運転である。
今日の1日は、俺たちの中では最悪の日であるはずだが今だにその予兆を感じることはできなかった。だが、B5に着いた瞬間その雰囲気がぶわっと感じることになった。
B5に着くと、エレベーターのドアのままの横幅で鉄の橋が架かっていた。その橋の横には、その《穢刃》がズンと佇んでいた。ここには、総20体の穢刃があった。
「……圧巻ですね。」
「第3班か。ええっと、藤岡だったか?」
「はい。藤岡紳助です。で、こちらが、被子帽迷です。」
「よろしくお願いいたします。」
迷彩帽子は、脱帽して頭を垂れた。隊長の横を通り過ぎると、自分の《穢刃》と目が合った。
赤黒い目が、こちらに威圧感を与えている。これから、こいつに乗り、作戦のように戦闘をする。この悪魔で、悪魔を終焉に向かわせるのだ。