悪魔襲来
山形市の何処かの山にて炎の竜巻が起こった。その炎の柱は渦を描いており、中心が翠玉色に輝いていた。周辺にいた者はスマホを取り出して写真や動画を撮り出した。
「炎の柱が空高く立ち昇っております。」
動画を撮り始めた女性がそう言った瞬間、炎の柱から紅の炎が飛来し、彼女はその炎の中で黒い影になりつつ燃え、すぐに消し炭となって渦と共にその灰は空を舞った。
それを見た者らは悲鳴をあげ、スマホをズボンやスカートのポケットの中に入れ、炎の柱に怯え出し、すぐに逃げ始めた。それに気が付かなかった者は炎の飛来物によって消されていった。
断末魔を叫ぶ暇も与えずに、瞬殺された。
逃げる者達が発する叫び声が目立つようになって来た頃、炎柱は最上の部分を螺旋状に分解し、空に炎を放つ。その分解により徐々に下へ下へと螺旋が侵食していくほどに、本体の影が炎の赤が薄まり、出始めた。
本体の顔らへんには2本の角と翠玉色の目が映っている。全身は赤で覆われており、人型。背骨は翠玉色の結晶が露出しており、まるで棘のようである。ツノは、黄ばんだ白で骨のようで、口周りは結晶で覆われ、首から鼻先まで全て結晶化し、見えるのは、鼻と目であり、その目は底知れぬ神力が伺えた。
それは、正しく[鬼]であった。
写真や動画を撮っていた者らはもう居なくなった。スマホ諸共消し炭にされたのだから。
其れを確認したのか、数秒の沈黙の後に《其れ》は炎の柱を気体の様に散らばせて、顔を出した。
下に影を作りつつ浮遊する姿は、神とも取れた。拳は何も握っておらず、腕を前に伸ばした。
「ひっ…」
逃げる途中、足を怪我した女性は、全身焼けこげたかのような悲惨な姿を眼前から避けさせようと左腕で覆い、右手で地面を撫で、何かを握った。
そして、意を決したように標的に向かって石を投げた。しかし、その石は、標的に当たることなく影に当たった。浮いた足を地にゆっくりと置きつつ、伸ばした腕の指を広げた。
「あ…ぁ。お許しを。私の愚行にお許し…」
こうべを垂れ、女性は泣いて謝る。その直後、地が揺れ、地震のような轟音が響き、地面から鍾乳洞が何本も露出し、彼の足元から女性に向け物凄い速度でその鍾乳洞が地面から生え、瞬く間に女性を貫いた。腹を貫通し、鍾乳洞を通して炎のような血が地面に滴り落ちた。人間の悪意が、奉還されるように…。
序章
悪魔ーーーどこから出現したのかは不明で、人間の集落を焼野原にして回っているようだ。目は、翠玉色に光っており、顔は鬼に似ている。人々は、その鬼に許しを乞うては消し炭に変えられていた。
神の怒りが顕現したのだと皆が言い、今までの行いを改心したが何も変わらない。そうして、ジワジワと都市は炎の海になって言った。その炎の海は、直線に伸びていき、鬼は山形市の中心へと向かっていっている。そして、真ん中に着いた瞬間、悪魔は大爆発を起こして、山形市は壊滅した。
山形にある都市が壊滅してから、やっと国家が動き出した。都市を狙うことで奴には動物の中で人類と牛を分けられる知性があるということが分かった。我々人類は、その鬼を《悪魔》と命名、第一目的地を東京と判断し、東京地下都市の開拓が始まった。
そして、その開拓で必要となった軍隊を求めた。この世界を守護するためなら身を投げられるという者たちを。そこでは、千人という数が集まった。それぞれが、悪魔の災禍によって家族を失ったりし、悪魔に恨みを持つ者であった。
その組織をJADという。