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名探偵

「サトル様の力はどの様なものがあるのでしょうか?それと、その力は以前から持っていたものなのかも・・・」


「えーっとね・・・まず、俺の力はこの世界に来てから手に入れたもので間違いない。それと俺の力なんだが・・・」


俺はまず、以前に少し説明したマルチジョブとPT設定変更を補足を追加して説明し、その後にわかりやすいMP回復倍増(20倍)と詠唱破棄を説明した。


「まるちじょぶとパーティー設定変更・・・この二つだけで神話級だというのに、魔力の回復が人よりも二十倍もはやいのですか・・・」


「凄いです!さすがご主人様です!」


カタカナ語で言いにくそうにしてるものは知らない言語で、パーティーの様にすんなり言っているものはこの世界でも使われている言葉なのかな?

今までもこんなことあったけど、基準がまったくわからんな。


とりあえず説明がしやすいものからどんどんいこう。


「次は・・・」


「まだあるのですか!?」


ミーナの目がおっきい。

元から大きめだけど、そんなに開くんだねぇ。おいさんびっくりだよ。


「うん。全部で七個かな」


「七!?」


目だけじゃなくて口もそんなギャグマンガみたいにしたら顎が外れるぞ。

オリヴィエはウンウン頷いて自慢げな表情をしてるけど、それどんな感情なの?

とりあえず、ミーナの顎のためにもさっさと説明を進めてしまおう。


「マルチジョブ、MP回復倍増20倍は説明したから次は詠唱破棄かな。これはたぶん魔法を詠唱なしで発動できるものじゃないかな?」


「たぶん・・・というのは?」


目と口を元に戻す代わりに首を傾げるミーナ。


「俺は魔法に詠唱が必要かすら知らないんだ。だから、たぶん」


「あぁ、なるほど。・・・魔法のことは私もほとんどわからないです」


「めずらしいな。魔法に関する本とかは読まなかったのか?」


「興味はありましたが、商人の家に使えもしない魔法の本はありませんでした。物語なんかで登場するものはたしかに魔法を使う時に何かを言う表現をしていましたが、ほとんどのものが魔法を知らない人が書いたもののようで、そのような部分はとても曖昧に書かれているか、明らかに創作したようなものばかりでした」


ミーナの育った商人の家に魔法の本はなかったか。

まぁそりゃそうか。聞くところによるとこの世界の本は安いものじゃないらしいし、自分たちが使えるあてのないものにわざわざ高額の金を支払うなんて馬鹿な事しないよな。

魔法がどうやって使えるようになるのか知らんけど、商人みたいな金を持っているような人物が使えないんだから、金があれば使えるようになるようなものじゃないんだろう。知らんけど。


「ふむふむ。まぁ詠唱破棄はそんな感じだ。次は・・・鑑定かな」


「鑑定ですか。それはクイルでも出来るので、他のものと比べると普通ですね。便利と言えば便利ですが」


あー、そっか。この世界の鑑定といえばあのクイルのやつが普通なんだよな。

確かにあんなのをどこでもできるようになったからってどうという事はないよな。だが、俺の鑑定は一味違うんだぜ?


「鑑定という名は同じだが、俺が使う者はクイルのものより多くの情報を得られるし、対象は人だけじゃなく、物にも使えるんだ」


「物・・・に使ってどうなるのでしょう?それに情報とは・・・?」


「俺ってククレ草とかミツチ草とかをダンジョンとかでよく拾っていると思わないか?」


「え・・・それはどういう・・・あぁ!」


ミーナは察しがいいから全てを説明しなくてもいいから楽でいいね。

オリヴィエなんか隣で首を傾げているぞ。


「なるほど・・・情報を得られるということは見分けるのにも使えるという事ですね」


俺の代わりに説明をしてくれたおかげで横のオリヴィエも納得し、手のひらに拳を打ち付ける古典的なリアクションをしていた。この世界にもそれあるんだね。


「それで、クイルのものより・・・というのは?」


「簡単なのは年齢だな。それと、俺の複数の職業はクイルでは一つしかわからない」


「ふむふむ、それでファストのクイルで不審に思われなかったのですね?」


「うむ。後はレベルだな」


「れべる?」


こっからの説明が大変だなぁ。

なんせ今までなかった概念のレベルをいきなり言われたって困惑するだけだろうしな・・・・


「ちょっとここからは突拍子もない話になると思うが・・・大丈夫か?」


「ここまで突拍子もなかった話しかなかったので今更です」


結構ズバッと言うね~君。オリヴィエも頷かないのっ!


「そ、そうだな・・・。ん、んん!」


咳払いを一つついて一呼吸を入れてから続きを話す。


「まず、この世界にはレベルというものが存在しているのだが、これは色々なものを起因に経験値というものを得て、強化されていく」


「れべる・・・経験値を・・・強化?」


さすがのミーナもこれだけじゃ理解できないか。それもしょうがないことだよね。俺はゲームとかで馴染みがあるからすぐに理解できたが、そもそも概念自体がないこの世界の人に前の説明だけで理解しろといっても無理な話だ。


「一つ一つ説明していこうか。レベルというのは一言でいうなら実力を数値化したものだ」


「数値化・・・」


「それが職業毎についている。例えば、俺の戦士は今レベル14でオリヴィエの剣士はレベル12、ミーナの槍使いはレベル11だ。これらのレベルは基本的に魔物を倒すことで上昇する」


「11・・・上昇・・・」


俺の説明するたびに単語を呟きながら必死に理解しようとするミーナ。

普通だったらこんな常識外のこと言われてすぐに理解しろと言われても無理があると思うが、彼女だったら出来てしまいそうな謎の安心感がある。


「・・・もしかして、村人は年齢を重ねるとレベルがあがるのでは?」


「凄いな・・・。どうしてそう思った?」


鑑定でステータスを見てやっと俺がその仮説を立てることが出来たのに、その情報だけで同じような場所までたどり着くなんて・・・。


「常々疑問に思っていたんです、職業を変更するには適性が必要だと言う話ですが、その適性は何を基準に得られるのだろうと。確かに戦いが得意な者が戦闘職と言われる職業の適性を得やすい、勉強をすれば商人への道は開かれる、などの話はよく聞きましたが、どんな人間でも皆一律に13歳以上の年齢にならないと

どんな職業へも変更できないのです。だから村人のレベルが年齢に関係しているのではないかと・・・」


なにその推理力・・・次からシャーロックさんかはじめちゃんとお呼びした方がよろしいでしょうか?


「ミーナは頭がいいな。俺だったらこの情報だけでそんなところまでたどり着かないぞ」


「いえ・・・普段から疑問に思っていたことにサトル様がきっかけを与えてくれただけです」


いーや、そんな些細なきっかけでそんな答えをみんなが導けるんだったらこの世界にはもう空飛ぶ車が優雅に大空を舞っていることでしょう。それぐらい凄い発想力だと思うけどな。頭がいいとは常日頃思っていたが、ここまでとは思わなかった。生まれが生まれだったら恐ろしい地位に居たんじゃないのか?この娘は。


「ほぼ正解だな。村人は恐らく日毎に経験値を得ている。そして、職業を変更するには村人のレベルが10になる必要があるみたいなんだ。だから年齢を重ねてレベル10になる歳が13歳辺りなのだろうな」


「そういうことですか!ミーナ凄いです!」


ずっと横で頭を回しながら不思議そうに俺達の会話を聞いていたオリヴィエも遅れて理解出来たようで、すぐに正解に辿り着いたミーナに称賛を送っていた。


「以前、槍使いにして頂いた時、サトル様に抑えて頂いた魔物を私一人で倒すように、という出来事があったので、職業変更にはなんらかの条件が必要なのだと思っていたので、それもかなり大きかったです」


「正解だ。槍使いになるには村人レベル10と、槍で魔物の体力を半分以上削り、倒すという条件になっている」


「あの行動は戦いに備えて度胸をつけるための修行ではなかったのですか!?」





オリヴィエはアレをそう捉えていたのか。

その発想も中々に面白いな。さすがですよ。ある意味ね。

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