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待望だった異世界人生を謳歌します! ~VRMMOのβテストをやっていたらいつの間にか異世界にいました~  作者: 影出 溝入


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やる気

「ま、まぁ・・・アンジュは単独で盗賊団を壊滅させたりしてたし・・・ラスクだって片手間だけど活動していた年月が長いんだから当然っちゃ当然・・・だろ?」


「うぅ・・・いいわよぅ、そんな見え透いた慰めなんてしなくて・・・。私だって、今まで自分が冒険者としてなんにも活躍出来ていないなんてことは分かってるんだから・・・くすん」


ユウキがいじけてしまった。

冒険者ギルドの隅っこで膝を抱えて座り込んでいる。

すまんな。俺がギルドランクなんてもんを提案したばっかりに。でもその制服姿でその座り方をするとかぼちゃパンツが丸見えになるからやめなさい。

でもスカートから覗く下着がそれだと見せパンみたいで全然エロくないなぁ。ユウキが現代日本から持ってきたパンツは当時履いていた一枚のみなので、今は大事にしているのと、ダンジョンなどでは激しく動き回ることが多いため、ほとんど履いていないようだ。


う~ん・・・なんとか龍に頼んだら空からひらひらと降ってくるあの素晴らしい素材とフォルムのおパンツをこの世界でも再現できないだろうか・・・。やはりパンツは肌に密着してこそだよな。俺はトランクス派だから今のパンツでも別に違和感はないんだけど。


「・・・エッチ」


また視線を読まれてしまった。そんなに分かりやすいのかな?

おかしいな。電車でひっそり向かいに座った女性のスカートの奥を楽しんでいた時は見破られたことない俺の得意技だったはずなのに。

・・・あれ?もしかしてあの時も気が付かれていたのかな?いや・・・まさかな。


「今回開始されたランク制度はギルドへの取引の履歴と依頼達成率が重視されているみたいですから、当時パーティーを組んでいなかったユウキさんのランクが上がっていないのは仕組み的に仕方がないと思いますよ」


この世界では今までパーティーという概念も存在もあるということは認知されていたが、それを組むことで色々なメリットがあるということは解明されておらず、一緒に行動する冒険者でもわざわざパーティーを組むということをしていないというのが普通だった。


ユウキが俺と出会う以前に行動を共にしていたカデナ達も例外ではなく、俺に指摘されるまでパーティーを組んではいなかった。

パーティーに入っていればギルドカードに討伐依頼や取引実績なども残るのだが、ランク制度がなければそんなものはあっても特になんの意味も無かったため、今までの履歴はほぼすべてリーダーのカデナだけになっているのだろう。

だから冒険者として活動していたはずのユウキのランクはカッパーのままとなってしまったのだと思う。どのくらいの活動でランクが上がるのかは知らないけど、カッパーからブロンズへは結構簡単に上がると説明していたから、その理由であっているはずだ。


「そうです!自分達のランクなんて関係ありませんよ!私達にとって大事なのはご主人様のランクですから!」


いや、自分のギルドカードをブンブン尻尾を振りながらあれだけ嬉しそうに受け取っていたオリヴィエがそれを言ってもあまり説得力がないぞ。


「大丈夫だよ!ほらっ!ルーもっ!ルーもかっぱだから!一緒だよ!」


それだと頭の上に濡れた皿を乗せなきゃいけなくなるぞ。それとも雨具の方か?どっちにしてもそんなものと一緒にはなりたくないけどな。


「ふふ・・・。うん、ありがと。ルーちゃん」


そんな冒険者ギルドの端っこで繰り広げられるへんてこな光景を眺めていたら、左腕の袖が引っ張られる感覚があったのでそっちに目をやると、それを引き起こしていたのはココだった。


「あるじっ。だんじょんっ!」


真っ直ぐな目をし、いつものように無表情でこっちを見ていたが、視線の更に奥で彼女の黒い尻尾が左右に大きく振れていたので、その感情は手に取るようにわかった。

だが、それと言葉の意味がどうにも結びつかなかったため、


「ん?ダンジョンがどうした?」


と、問いかけると、


「いこ」


という非常に短く分かりやすい答えが返ってきた。

なるほど、自分のギルドカードをもらったからはやくダンジョンで活躍してランクを上げたいのだろう。俺の袖を握っていない左手は胸の辺りにあってそこには大事そうにギルドカードが握られているしな。


「よし、んじゃ行くか」


「んふ~~~」


俺が笑顔で彼女のお願いを了承すると、俺の左腕に生暖かい鼻息が勢いよく吹きかけられた。


「俺も!俺も行きたい!」


「私も行くわ!こんなランクのままじゃカデナさん達に笑われちゃうしね!」


ノリノリだ。

こんなユウキを見るのはカレー作りをする時を除いてはじめてだな。やる気があることはいいことだ。

まぁ正直ランクをあげるだけなら俺のストレージ内にある大量のドロップアイテムを個々に手渡して取引させれば簡単に上げられそうではあるが、そんなネトゲの効率厨みたいなことをして上げてもきっと誰も喜ばないだろうからな。


だから今回はちゃんと自分達が討伐したドロップアイテムを自分達のパーティー分として納品するためにそれぞれが背負い袋を持つことにした。


そしてランク上げを目的とした今回のダンジョン探索ではランクが高い俺とアンジュ、ラスクが一緒のパーティーにいると低ランクのメンバーはランクが上がりにくくなるということもあり、その結果その三人がハブられてその他のメンバーで5人と6人の二つのパーティーを冒険者ギルドで作っていた。色々戦力差や職業適性を考慮して自分達で相談し合いながらワイワイとパーティーを作っていく光景は傍から見ると凄く楽しそうだ。みんなやる気に満ちていて素晴らしい。でもなんか自分がその輪の中に居ないということがちょっと寂しい・・・。


よし、こうなったらハブ組の三人で乱獲してやる!

ラスクは鍛冶師としてのレベルは以前に29まで上げたけど、鍛冶師は戦闘職じゃないからレベルを上げても戦闘関連のステータスはほとんど上がらない。戦闘用にとつけた第二職業の斧使いはまだレベルが13だし、この機会に上げてしまおう。


Lv13は子供達よりも高いし、決して低いレベルではないんだけど、ウチのメンバーと一緒に戦闘を共にするにはそれではやっぱりちょっと差があり過ぎるんだよね。

まぁ彼女は戦闘よりものづくり主体だからラスク的にはいらない過剰な戦闘力かもしれないけど、俺達と共に暮らしていくということにしたのならある程度は全体の方針に従ってもらうことになるのはしょうがない。その代わりといってはなんだけど、彼女がやりたいと思ったこともちゃんと全力で支援していくつもりだからその辺は我慢してほしい。


そんなこんなで一旦各々が家に戻ってダンジョンへ入る準備をしてからまたダンジョン前に集合した。


「全員集まりましたね。それでは行きましょう!」


「「「おー!」」」


最後にイデルを抱っこしてやってきたネマを見て、オリヴィエが号令を出すと、それにココとルー、ライの三人が元気よく握りこぶしを挙げて応答していた。


イデルは一人で家に置いていくことは出来ないのでネマが連れてきたのだが、今回はランク上げ組の全員がかなりやる気になっているため、ハブ組となったアンジュがイデルを連れて行くことになった。彼女と一緒ならダンジョンの10層だろうが家に居るよりも安全だろう。

ちなみにこの時点で既にハブ組三人やけくそ乱獲大会を行うという計画は頓挫した。ちくせう。






いや、まだだ。

俺が本気になればラスクと二人だって・・・!


成せば成る。成さねばならぬ・・・のか?なんでかな。なんだかな


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