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待望だった異世界人生を謳歌します! ~VRMMOのβテストをやっていたらいつの間にか異世界にいました~  作者: 影出 溝入


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精豪

「どうしたの?そんなに難しそうな顔をして・・・」


「何かね・・・ユウキの職業枠が増えてるんだよね・・・」


「えぇ~~~~!!?」


俺が突然職業枠が増えたことの原因を眉間にしわを寄せて調べていたら、それに違和感を覚えたユウキが指摘してきたので、俺がそんな表情をしていた理由を説明してやると、驚いたユウキが大声をだした。

気持ちはわかる。俺もそんなことを突然言われたらそんな反応になると思うしね。


「ユウキさん!?どうしたのですか?」


「ご主人様!大丈夫ですか!?」


「なんだなんだ。朝っぱらから」


家中に響き渡ったユウキの声が一番近くに居たミーナを筆頭に、子供達やラスクなど今家に居る全員が集まってきた。


ユウキは自分の声で集合してしまったことにあわあわしていたが、俺はこの状況を丁度いいと思い、オリヴィエのことを鑑定してみると、彼女の職業枠にも「なし」が追加されていた。続けてミーナやアンジュも確認してみると同様の結果だったのだが・・・、


「あれ、ココは追加されてない・・・」


ココだけじゃなく、他の子供達も調べてみたが、職業枠の追加はなかった。

この結果を受けてもしかしたら俺と一緒に居た期間が関係するのかとも思ったが、一番最後尾でドワーフ特有の低身長のせいで俺達を視認するのに背伸びをするはめになっていたラスクに鑑定を使ってみると、なんと彼女の職業欄にも「なし」がついていた。


ということは・・・もしかして職業枠を獲得する条件って・・・俺と肉体関係を持った者だったりする?

う~ん、精豪っていう職業だし・・・そういう条件だったとしても驚きはしないけど・・・この世界ってもしかしたらゲームのシステムを流用しているのかなぁとか思ってたんだけど、そんなことが必要な仕様をゲームに入れるわけもないし、俺の予想は外れてたのかな。


その後も全員に鑑定を使って職業欄に「なし」の有無を確認したが、やはりウィドーさんについているのにネマにはなかったので、やはりそういうことなのだろう。


後は一定の年齢以上であることが条件であるということも考えられるが、それは今すぐに検証できるわけでもないし、そんなのは今後誰かミーナ以上の年齢の人物をパーティーに入れてみればすぐにわかるだろう。


でもこの条件ってさ・・・異性に付与したくなった時は・・・いや、考えるのはよそう。俺にバラを咲かせる趣味はないし、するつもりもないからな。


「ちょっと俺達だけで話がしたいから、ネマは子供達を連れて少しの間一階に行っててくれないか?」


俺はこの情報をみんなにも共有するために、その話の内容的に子供達が居ない場所の方がいいと思ったのだが、


「や!」


と、相変わらずココが一人抵抗していたが、それを完全に予測していたネマに取り押さえられ。「や~~~~~!」という叫び声を家中に反響させながら引きずられるように一階に降ろされていった。


ありがとうネマ。これからの話をもしココが聞いてしまい、そのせいで今回の条件を満たすための催促をされても困り果てるしかないからな。


俺達は子供達が全員一階に降りたことを確認してから二階の寝室へと入る。

最後に入ったミーナがパタンと扉を閉めた音を聞き、後ろを振り返ると、全員がこちらを神妙な顔をして注目していた。


この部屋に入る前に話がしたいと言ってわざわざ子供達を遠ざけたからな、こうなるのも無理はないだろう。

俺は一つ深く息を吐いてからみんなをこの部屋に集めた理由を話し始めた。


「え~っと・・・昨日、俺の色情魔のレベルが30になって、その上位職業の精豪を手に入れたんだけど・・・」


「ちょ、ちょっと待って?・・・まずその色情魔って言うもの自体がわからないんだけど・・・」


説明の取っ掛かりから自分の知らない職業名が出てきたことで、ユウキが俺の発言を遮って質問をしてきた。

オリヴィエや他のメンバーもユウキに賛同するようにうんうんと頷いていたので、同じ疑問を持っていたのだろう。


たしかに色情魔はユウキだけじゃなく、誰にもその存在を教えたことはなかったっけ・・・。

別に戦闘に必須の職業でもなかったし、俺は今まで超便利な精力剤くらいにしか思ってなかったしな。

それに、「今日は色情魔をつけるからいくらでもいけるぞ!」とか言うのもなんか違うし、それは現実世界であればバイアグラ飲むからいっぱいはげんじゃうぞ!と言っているようなものだしな。そんな恥ずかしいことを高らかに宣言するほど俺はまだアホになりきれない。

女子の前で意味もなくかっこつけちゃうのは男の子なら当然だろ?


「俺の夜活が旺盛なのはレベルが高いからじゃない。色情魔の職業をつけると精力が増すんだ。普段からこの職業をつけるとちょっと頭がピンクに染まるから夜にしかつけてないんだけどね」


「なるほど・・・それで毎晩あんなに・・・」


「使徒様特有のものかと思っていましたけど、そんな職業があったんですね・・・。ですが、普段つけていないのでしたらどうしてレベルが30になったのですか?」


アンジュが顔を赤らめながらも少し呆れたように話し、ミーナは精力オバケなのは使徒だからだと思っていたらしい。そんな神の使いは嫌だけどな・・・。


「・・・この職業は魔物を倒す以外にも、異性と肌を重ねることで経験値を得られるみたいなんだ」


ちょっと恥ずかしいけど、聞かれたのなら仕方ないと色情魔という職業の経験値取得方法を説明すると、俺を含めたこの場の全員が恥ずかしがってしまった。・・・顔あっつい。


「え~っと・・・そのレベルが30ってことは・・・アタイの僧侶よりも高いってことに・・・?」


「さ、さすがご主人様です!」


そして夜活でしか経験値を得ていないのに、今までダンジョンなどでかなりの魔物を倒してきた自負もあるだろうウィドーさんもその異常さに気が付いてしまったようだ。

そしてオリヴィエ・・・さすごしゅを出すタイミングは絶対今じゃないぞ。


「そしてその色情魔の上位職業が精豪で、その効果が・・・」


そこまで口にした後、続きは自分で言えと言わんばかりにユウキが視線をこちらに向けてきたので、


「どうやら俺と肌を重ねた経験のある者に職業枠・・・今持っている職業に加えてもう一つ好きな職業をつけられる枠を与えるというものらしい」


と、俺は精豪の特殊効果を説明した。


すると、


「本当ですか!?」


「職業を二つ持てるのかい!?」


「凄いです!」


「もう一つ・・・魔法使い・・・いや、汎用性を考えればやはり僧侶だろうか?」


一番最初に嬉しそうに身を乗り出してきたのはオリヴィエで、ウィドーさんとミーナは互いの顔を見ながら驚きあっていて、アンジュに至ってはもう自分につけるべき職業を考え始めていた。


「あのぉ~・・・」


そんななか、さっきからみんなの輪に入れずにいたラスクが小さく手を挙げて話に入ってきた。


「さっきから全然話がわからないんすけど・・・レベルって何すか?職業をもう一つつけれるとは・・・?そもそも職業って適性が無いとその職に就けないと思うんすけど・・・」


「あ~・・・そっか、そういやラスクにはまだなんも話してなかったっけ」


ラスクは俺が使徒だという事はおそらく姉のリリアに聞いて知っているだろうが、彼女は俺の家に住んで間もないうえに、一緒に住むことになった次の日に外出してしまったからまだそのほとんどの期間を共に過ごしてないんだよな。


だから彼女にはまだ俺が別の世界から来たと言う事や俺の力のことなんかは何も説明していないんだった。






これからも一緒に過ごしていくのだからちゃんと彼女にも伝えることは伝えないとな。


昨日は60年もの間誰にも触れさせてこなかった場所も許してくれたのだし、他の子同様に扱っていかないとね。

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― 新着の感想 ―
ジョブの得方が才能(今までそう思われてたのは才能がなければ条件を満たすのは難しいからだけど)ではなく、条件制だという情報だけでいっぱいいっぱいになりそう
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