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待望だった異世界人生を謳歌します! ~VRMMOのβテストをやっていたらいつの間にか異世界にいました~  作者: 影出 溝入


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パーティー



 名前

  オリヴィエ(奴隷)


 性別

  女


 年齢

  17


 種族

  狐人族


 職業

  村人 Lv11


 所有者

  アマノ サトル




オリヴィエのステータスに所有者という新しい欄が出現し、そこに俺の名前が入った。


不謹慎だとは思う。


でも勝手に溢れてくるんだよ、この歓喜の感情が。

奴隷という制度自体に全く馴染みがない俺にとって、オリヴィエを所有するというのがどういうことなのかは全然わかっていないけど、彼女を手に入れたことは間違いない。


ステータスに所有者ってちゃんと書いてあるしな。


その嬉しさの波が表情に出ないように俺が必死にこらえていると、彼女はまだ戸惑いの表情を浮かべていた。



あ、そうだ。



「ヒール」


MPがなくなった。

ギリギリ1回使えるかな?と思って試しに使ってみると、魔法はちゃんと発動し、その代わりに回復したMPは再び底をついた。


「たぶんこれで傷はもう大丈夫だろう。ファストに行こう」


戸惑っていた彼女に回復したてのヒールを使い、その傷を癒した。


あれだけの大怪我だったから、もしかしたら傷跡の一つも残ってしまうかと思ったがそれは俺の杞憂だったようで、オリヴィエの体は何もなかったように綺麗に治った。


自分の体を見回しながら驚いていたオリヴィエは、しばらくあちこち体を触りながら確かめていたが、自分の状況を確認し終えると、その表情のままこちらをじっと見つめてきた。


なにか問われるのかと思い、しばらく黙って待っていたのだが、彼女からの問いかけはなく、そのまま二人で見つめあう時間が続いたが、先に視線を逸らしたのは俺の方だった。


だってあんな美人に見つめられた経験なんてないもん。しょうがないだろ。


「・・・き、傷が癒えたばかりですまないが、遺体をこのままにすることもできない。はやく街へ行こう」


最初の一言が上擦ってしまった以外はなんとか頑張って取り繕うことが出来たはずだ。・・・たぶん。

俺は恥ずかしさから逃げるようにファストのある方向へと歩き出す。


「あ・・・は、はい」


オリヴィエは視線の先の俺が無理矢理行動に移したことではっと我に返り、俺の後ろに追従した。


それでもやはり何か気になることがあるのか、ちらちらとこちらを窺っている気配がする。

俺の後ろをついて歩いてきているから見て確認したわけではないが、感じるんだよね。視線。すっごい。

これもレベルがあがったことで感覚が鋭くなっているからなのか?


「あ」


俺はしばらく後頭部にオリヴィエの視線をひしひしと感じとりながら歩いていると、あることを思い出した。



オリヴィエをパーティーに入れておくか。


パーティーに入れることのメリットは分からないけど、別に入れること自体にデメリットはないだろうし、入れないままでいるよりはいいだろう。


あ、でもパーティーってどうやって組むんだろう?


と思った瞬間



    PTを組むにはPT設定変更と念じてください



・・・サポートが手厚すぎてなんか怖いな。頭の中を常に覗かれてるみたいだし・・・。


そろそろ慣れてきたウィンドウのポップに従うと、



    オリヴィエをPTに加えますか?



肯定の意を念じる。すると


「え?・・・あ、はい」


と、後ろから可愛い戸惑いが聞こえてきた。


いちいち可愛いをつけてしまうのはしょうがない。これはこの世の理なのだ。


どうやらパーティーはボーナススキルを使って行うらしい。

じゃあこのスキルを持たないやつはどうやってパーティーを組むのだろうか・・・という疑問を持ったが、なんとなくあの「クイル」とかいう便利アイテムかそれに準ずる何かで行うんじゃないかと思った。


なんとなくだけどそう大きくは間違ってはいないと思う。

街の門にもギルドにも果ては街の中にある各店舗までがクイルを持っていたからな。あれの仕組みがどうなっているのかなんて皆目見当もつかないけどね。


パーティーというシステムがこの世界に認知されていないということもない。

何故かというと、ギルドにあったクエストボードに貼られていた紙にパーティーの文字があったからだ。



そうそう、この世界の文字は日本語だ。


ゲームでは当たり前だと思っていたが、この世界に来た時に異世界もの定番である言語翻訳スキルのようなものを持っていなかった俺は、実は少し心配していたが最初ファストで日本語を見かけた時にちょっとだけホッとした記憶がある。


でも、なんとなくそうなんじゃないかと思っていたから、それほどの衝撃はなかったというだけだ。


だってゲームの世界も日本語だったしね。





  名前

   アマノ サトル


  性別

   男


  年齢

   17


  種族

   人族


  職業

   戦士   Lv6

   魔法使い Lv6

   僧侶   Lv6

   盗賊   Lv6

   商人   Lv6

   奴隷商人 Lv6


  ボーナススキル

   MP回復倍増(20倍)

   PT取得経験値倍増(20倍)

   マルチジョブ(6th)

   PT設定変更

   鑑定

   詠唱破棄

   システムサポート

  

  PTメンバー

   オリヴィエ




新しい欄が出来てちゃんとオリヴィエがメンバーに加わっているな。

それとレベルも上がっている。


あんな戦いをしたんだからレベルの1つや2つ上がらなきゃやってらんないよな。

上がったのは1だけどこの世界の人の事を考えたら文句も言えないな・・・。


取得経験値20倍がなかったらあんな戦闘をしてもレベルは動かないだろう。

ハードモードすぎんか?とも思うけど、これはゲームじゃない。


レベルの上限がいくつなのか、そもそも上限があるのかも知らないが、普通のRPGであれば40時間もプレイすれば余裕でクリアできる。

しかしここでは人生をかけてそれを行う。しかも命がけで。


生き返る術があるかどうかはわからないが、もしあったとしても一般市民がおいそれと使えるものではないだろう。

ならば普通は死んだら生き返れない。生き返れないのであれば、1つしかない命は扱いは慎重になり、ゲームのような無茶なレベル上げは行えない。

現実にはセーブポイントもないし、食事や睡眠もとらなければならない。


レベル上げに費やせる時間も限られる。

街に高レベルを見かけなかった理由もここにあるのだろうね。



自分の後ろを美人が歩くという経験値が乏しい俺が、緊張してくだらないことを考えて平静を装っているという事実は表立っては否定しておく。


システムサポートさんに見られてるかもしれないからなっ!



「ご主人様」


後ろから可愛い声が俺に問いかける。

ちょっとビクッとしたの気がつかれてないだろうか。


「なんだ?」


歩きながら振り返った俺にオリヴィエが続ける。


「ご主人様は・・・奴隷商人なのですか?」


「ん?・・・んー、そうだな」


オリヴィエにご主人様と呼ばれる幸せを感じながら答える。


俺の職業の一つに奴隷商人があるんだから嘘じゃないよな?


「・・・そうですか。・・・でしたら私のことは死んでしまった奴隷商人から死ぬ前に譲り受けたことにした方がいいかもしれません」


「え?なんで?」


と瞬間的に疑問を投げかけてしまったが・・・そうか、俺は戦士ってことになってるんだっけ・・・。


ん?じゃあなんでオリヴィエは・・・


「ご主人様は一人で複数のフォレストハウンドを倒されたのですよね?」


「うん」


「普通の奴隷商人にそのようなことは出来ません。なのでご主人様の話は信じてもらえないかもしれません」


あ、そうか。


普通の人は複数の職業を持つことはない。

ならば通常、奴隷商人は奴隷商人でしかなく、そうであれば普通は戦闘をこなすことなど出来ない・・・ということか。


俺は最初、戦士が奴隷商人を持っていることが不自然だからだと思ったが、そうじゃなくて奴隷商人が戦闘をこなせるはずがなく、フォレストハウンドを討伐した、という俺がこれから行う報告が信用されないかもしれない・・・ということか。


まぁ実際には俺はクイルの鑑定では戦士であるから、討伐の事実は受け入れられるかもしれないが、今のままではオリヴィエが俺の奴隷であることに矛盾が出てしまうか・・・。



出した答えは事実と違うかもしれないが、このままでは生じてしまう問題を今知りえる情報からすぐに導き出してしまうとは・・・。


この子、めっちゃ頭がいいんじゃないか?


俺が複数のジョブを持っていることを知らないオリヴィエが真実に辿り着かないのは当然だが、何も考えずにこのまま報告したらまずいことになっていたかも。

最悪の場合、オリヴィエが俺の奴隷として認められなかったかもしれないし、もっというと話が変な方向にこじれて俺があの襲撃の元凶とされてしまっていたかもしれない。



どうしたものか・・・。

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― 新着の感想 ―
「もっというと話が変な方向にこじれて俺があの襲撃の元凶とされてしまっていたかもしれない。」 死人のかまれた傷跡見たら、襲撃犯とは間違われることはないでしょう。
[気になる点] 14話もそうですが、大商人取得の為にスタート時点で盗賊から村人に変更したはずなのに盗賊です。
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