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“イケメン”の、イカリをーーカッタ!

 「何って。頼まれたから、掃除してたんだよ。此の礼拝堂は“特殊”でな。街にる奴と、一緒にするな。王族の儀式専用だからな。本来は“立入禁止”なんだよ(丶丶丶丶)。入って良いのは、此の国の王族と、其の許可を得し者だけーーだ。真逆“知らなかった”のか? それで。御前ーー“サクラ男爵令嬢”だったかーー



 あんたは何で、“居る”んだ? それともあんた、“王族”か?」



 “シラン”の瞳は笑っていなった。ーーーーっ、どうしよう?! うまいいいわけ、思い付かないよっ!



 ×××××××××××××××××××××××××



 焦ったウメは、こう言った。「! あの者のせいです!」と。




 ×××××××××××××××××××××××××



 「………………、はあ?」



 「ですからシラン様! 私はここの掃除を言い使ったのですが! そこへ使用人がひとり来まして!まだ若い少女でした! その者に頼まれて、つい、掃除の仕事をゆずってしまったのです…………っ、ほんとうはいけないと、わかっておりましたとも! でもですね!」



 「…………もう、いい。」



 「は? ……………え?」



 「“もう、いい”と、言った。掃除は御前の仕事だったか。ならもう済んだ。報告に行け。」



 「えっ? えっ?」



 「“物分り”が、悪いのか? サクラ男爵令嬢ーー鍵を掛けるから、邪魔だと言ってるんだ。さっさと行け。」



 「! しっ、失礼いたしましたっ」



 “わたし”は、慌てた。これ、どうしたらいいの? あの使用人少女っ! おぼえてなさいよ!




 ××××××××××××××××××××



 礼拝堂から、シランに背を圧される様に、追い出された。神聖な空気のせいなのか、シランの表情はとても怖かったからだ。あわあわする彼女を置き去りにして、シランは振り返りもせずに、さっさと行ってしまったのだ。無言だった。それよりも、彼の背中が怒っていた。ウメにはそう思えたのだ。



 ウメは。





 シランは何者なのだろう?ーーそう思った。普通の使用人等とは、違う様だと。先ず、服装が違う。剣を携えていたので、はじめは騎士かと考えた。けれど、二度目に会った時に、違うと思った。騎士の制服という物が、ある。けれどシランの装いはそれでは無かったからだ。城で働く者には、代わり無かろうが、一体?と。彼女は元から無い知恵で考えていたのだった。




 そして、実はひとつの可能性に、辿り着いている。彼こそ“王太子”では?と。うんーー“外れ”で在るが。




 実は“遠く”も、無いのだ。シランは“王”に、呼び出された。あの要件とは実は“その事”だったのだ。




 ×   ×   ×



 勿論シランは“王太子”では、ない。其れは事実だ。が、王と其の妃は考えた。シランの処遇を。如何したものか?と。シランの両親は亡くなっている。だが。其の者達は自分達の、部下だったのだ。王宮の“庭師”だった。此のハナ王国の“庭”とは、所謂“庭園”では無い。では如何なっているのか? 植物は“薬草”から、果実生る果樹や薬の材料とする木樹や、花や又は植えられた植物等も、殆どが“役目”を持った俗に云う“作物”等だった。




 王国の“庭師”とは、其の全てを管理していたのだった。つまりシランの両親は植物のスペシャリストだったのだ。“作物”から“毒”迄の。其処を見込んで“と或る男”に、“と或る依頼”を、受けた。それは。





 “華月かげつ 陽藍ようせい”と云う名で。正体は単に“神”だった。故に己の星以外にも移動する事も中々に容易い男だったのだ。尤も容易く成る迄には、苦労もした様だが。



 陽藍は“ハナ王国”と云うよりは“此の星の神”と取引をしていたのだった。故に彼は要は此の星に好き勝手に“出入り”しているのだった。代わりとして陽藍は、此の星の神“白神ハクシン”へと対価を払って在る。



 対価(ソレ)とは。






 定期的に“菓子”を渡して在た。“菓子”とは“菓子”で、在る。そう、所謂は“スイーツ”だ。しかも。白神が対価(其れ)として要求するのは、陽藍特製の手作りの“菓子”だったのだ。××××つまり此の星の“神”は、甘党だった。言いふらしては、いけない。陽藍とは周辺の星の神達の“憧れ”の存在故に、此の事実が明るみに出ると白神は命すら危ういのだ。故に絶対的秘密事項で在った。×××××דさておき”なのだが。




 シランの“話”に、戻ろう。シランは両親を殺され、誘拐された子供だったーーと先に述べたが、故に。長い間、“両親を殺した者”と共に過ごして在た。つまり其の者達(彼等)を“親”だと思って“過ごした”のだ。ーーけれど。と或る“日”を境に。



 其の偽者の両親は帰って来なく為った。何故か? “ペルウィアナ”という少女の両親が、仲間殺しの者を追う任務に就いて在た。そして見付けたのだ。だが。“其の者達”は、自害したのだ。




 そして“誘拐された子供”の居場所は、不明となった。ペルウィアナの両親は、手掛かりも無しに懸命に“子供”を捜し始めた。“王”の命で。いいや、命無くとも捜した筈だった。王の部下達、総出で協力した。そして、



 “子供”は見付からなかった。




 では何故、シランは“此処”に、いるのか? 簡単だ。シランが自ら“来た”からだ。シランは自分の正体を知っていた訳では無いが、“知りたい”と思う様に、なったのだ。それで旅立った。両親を捜そうとも思っていたが、何方かと云えば“自分の正体暴き”の方だった。つまり、



 偽の両親との日々で、シランとて“違和感”なら得ていたのだった。だから、両親としていた“彼等”の死の現実と、本当の“両親”すら亡くなっている“事実”を知った時に。それ程落胆しなかったのだ。何となく。彼は“ああやはり”と、思ったのだ。其れよりも“事実”を知れた高揚感すら、在ったのだ。××××




 けれど。







 時が過ぎれば、やはり悲しかった。勿論寂しかった。“独りぼっち”だと。強いて云えば好きだった“ペルウィアナ”にも、失恋をして。淋しさを埋める為の新しい家族を“得る”事にすら、臆病に為った。“厄介”な、事にーーだ。“彼”は、そう思った。思っていたよりも、自分は繊細だったと、漸く気が付いた。××××





 だから“王”は“妃”に提案したのだ。“シランを養子に迎えないか”と。王妃アゲラタムは当然微笑んだ。“やっと決心致しましたか”と。お見通しだったのだ。“夫”は呻った。流石だと。××××××






 つまり、




 “シラン”は“王子”と成る事を、提案されたのだ。“二人”から。そして今、悩んで在るのだ。“そこ迄甘えて良いのか?”と。居候だけでも、過ぎたる待遇なのにーーと。けれどシランは思っていた。“それも悪くないな”と。




 つまりシランは“二人”が好きなのだ。息子に成らないかと問われて素直に嬉しかったのだ。返事は保留にしたが。受けてしまいたかった。好意に甘えたかった。けれど、




 “イチゴ”の迷惑に為らないのか?と、思い止まったのだ。此の王宮には、“居候”が、他にも在る。“グラスペディア”と云う名の“男”だ。グラスペディアは“ベニバナ”に惚れていて。けれどベニバナはグラスペディアの想いに応えるつもりは、皆無だった。グラスペディアは少し“変人”なのだ。友人ならば良いけれど、伴侶は無理だとベニバナは以前、シランにも言っていた。シランも又、ベニバナの考えを否定しなかった。グラスペディアとは友の筈の王太子“イチゴ”も、伴侶は遠慮して欲しいと願っていたのだった。“友人なら構わないけれど”と。悪い奴では無いのだけれど。「偏屈なんだよ」と。溜息を吐いて。



 グラスペディアとは。昔の事だが。“王”が連れ帰って来た、子供だった。他国にて孤児と為っていた処をーーだ。名がグラスペディアでは“我が国の者で在ろう”と。引き取って来たのだった。其れ以来グラスペディアは王宮で居候として暮らして来た。だが、大人に成り、独立を打診されても在たのだ。“やんわり”とだが。今迄十分に、育てた。縁も無き、其の子供を。教養も教育も、十分に施したつもりだった。其れは何処に出しても恥ずかしく無い様に、だった。けれどグラスペディアには、伝わっていなかったのだ。彼は此れからも王宮に居続けるつもりだった。



 在ろう事かベニバナ姫を娶ろうーーと、考えていたのだ。又、己は其れが為せる“立場なのだ”と。


 王妃と王には、その考えは無かった。


 三女ベニバナ姫の事は。彼女が“好きに成った相手”と婚姻させようと考えていたからだ。


 偏屈で我が強く、礼儀作法にも疎いーー所謂“粗忽者”のグラスペディアには。王も王妃も婚姻等とは。無論だが称賛出来る筈が無かったのだ。




 グラスペディアとは、一種の“天才”だった。彼は絵の才能に秀で、卓越していた。故にか。彼は自分に自信が在った。“王族と成るに、足らぬモノ等己には無いーー”と。“姫に相応しいのは自分だ”ーーと。自信が在ったのだ。××××



 “身分低き者”は「無能が多いーー教育を満足に受けていないからなーー」と、彼は言っていた。そう言った彼は。“シラン”にもそう言い放ち、さげすんだのだ。“卑しきモノ”だと。つまり。“シラン”を、



 「図々(ずうずう)しいーー」と。王家直々に保護され、又長きに教育も施され、育てられた“己の身”は。



 “王家に準ずる”と。其れがグラスペディアの“考え”だった。そして其の“身”は、ひとりで“良い”と。



 つまり自分で十分だと。××××××××



 彼はイチゴが連れて来た“婚約者”ペルウィアナにも暴言を、吐いた。目に余った故に王族の彼等は決断した。“反省”を促す為に幽閉したのだ。



 “教育”のやり直しを兼ねて。今迄“見逃し過ぎたーー”と。反省したのだ。××××××




 「今後“教養”を身に着けて(丶丶丶丶丶)貰います。」と、アゲラタムが、言った。なのに未だ彼はアゲラタムの言葉は“自分への愛情の表れ”だと、捉えて在る。“違う”のだが。




 彼女は本心で呆れたのにだ。“何処で間違えたのかしら?”と、箇の女王ですら思ったのにだ。悪気が無ければ何を言っても釈される訳では無いのだと。××××



 蛇足では有るが此の“妃”アゲラタムとは。例えでは無く、本当に“女王”だった。退いたのだ。“伴侶”の為に。自らが“王座”から身を引いて、伴侶を“王”と改めたのだ。国民の前で華々しくも、宣言しての事だった。××××





 ×   ×   ×





 「ーー成る程。そういう事だったのかーーシラン? “僕”は賛成だよ? 僕が兄では“嫌”かい?」



 “イチゴ”の言葉が温かいとシランは思ったので在った。だから言った。姫様方の了承を得れる迄は、成れないと。





 ×   ×   ×




 「っ、シランさまっ! さきほどはっ!」と。追って来た“声”に、シランは振り返ったのだが、“良い気分が台無しだ”と、後悔したのだった。つまり会いたく無かったのだ。“ウメ”はそうとは知らない。

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