プロローグ
この物語はフィクションであり、実際の人物・団体等は一切関係ありません。
拙く語彙力が無いので恐縮ですが温かい目でご覧頂けると幸いです。
「昨晩、都内某所にて殺人事件が発生しました。犯人は現場から逃走。未だに捕まっていません」
客船のロビーで室内音楽と共にニュースキャスターの声が響く。
たまたまついていたテレビだった。
それを見ながらテレビ前のソファーに腰掛けていた二人組の中年ぐらいであろう男性客達はバラバラにため息をつきボヤき始めた。
「また殺人か・・・物騒な世の中になったもんだ」
男がソファーに肘をつきながらボヤく。
それに相槌を打つように同じくソファーに腰掛けていたもう一人の男もボヤき始める。
「そうだな・・・さっさと捕まってくれたら世の中の為なのにな」
「さっさと捕まってこういう奴は死刑になればいいんだ」
そう言いながら男性客2人は主観的に話し続けた。
「・・・はぁ」
2人の男性客の会話を耳に挟んだ青年がため息をつく。
フードで顔を隠すように深く被り、マスク姿で青年はそこにいた。
そして青年はポケットにしまってあったスマートフォンを手に取りSNSを開く。
検索した内容は先程ニュースで流れていた殺人事件についてだった。
青年が開いたSNSでも誹謗中傷のコメントが寄せられていた。
[はやく捕まってほしい]
[どうせ頭のおかしい奴が犯人だろ。さっさと死ね]
[愉快犯ならタチ悪い。そういう奴が居るから怖くてまともに遊べない]
[早く死刑にしてくれ]
青年は誹謗中傷のコメントを見て肩を落とす。
そして青年は目を虚にさせロビーから去った。
AM2:00過ぎ。
青年はロビーの扉を開け外に出る。
外には満点の星空と波の音、そして客船が動く音がそれぞれ響いていた。
青年はゆっくりと客船の端まで歩いていった。
「・・・もう疲れた」
青年は消え去りそうな小さな声で呟く。
客船の端まで来ると青年は身を預けるかのようにそっと目を閉じ
「さよなら」
客船から飛び降りた。
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