表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星に願いを  作者: 深月 陽真
8/40

第7話 双子座の少年①

 昨日は正直眠れなかった。蓮の話を聞いても頭が追いつかない。せめて、自分にも星霊が現れてくれれば違うはずなのに。


「ハートの女王とパンドラの箱を見つけたら一つだけ願いを叶えてくれる。そしたら君を目覚めさせることだってできるのだろうか」


 優仁は目の前のベッドで横になり眠っている少女に語りかけた。彼が今いるところは病院だ。その一室に優仁はいる。

 ベッドにいる少女、優菜は優仁の妹だ。ある事故で眠りについて1ヶ月が過ぎていた。医師によると目を覚ます可能性は極めて低いとのこと。


「優菜、僕はどうすればいいんだ。もう訳がわからないよ」


 優仁は優菜の手を握り考えていた。星霊戦争に勝ち抜くことができれば、優菜は目覚めさせることができるかもしれない。しかし、そのためには星霊が必要だ。


 蓮の話ではアプリにライオンが描かれていたが、それが僕の星霊の可能性が高いという。レオとは登録時に星座のニックネームを入力する項目があるらしく、そこからきてるらしい。


 レオは、何故、現れないのか。何故、僕はインストールの記憶がないのか。こんなチャンスもう二度とないのに。危険な戦いだ。でも、彼女の人生がこのままベッドの中で終わるなんて考えたくもない。


「なあ、レオ。僕の願いに応えてくれよ」

 


 優仁は病室を出て、病院の廊下を歩いていた。その時、背中に悪寒を感じた。振り向くと、あの夜空の空間の中にいた。


「まさか、また星霊?」


 目の前に黒い塊りが見えた。それは徐々に近づいてくる。優仁は逃げようとしたが、足が震えて動かなかった。


「あれは、テネブラエだ」


 蓮の言っていた悪霊。形は様々で、黒い塊りのようなときもあれば、動物の形をしていることもあるという。


 優仁は震えながらスマホを取り出し、アプリを起動した。しかし、何も起きなかった。黒い塊りからは負のエネルギーが出ていた。憎しみ、妬み、恨み、様々な負の感情を感じ取れるほどに。


 気持ちが悪い。あんなものがこの世界にばら撒かれたというのか。


「蓮...」


 その時、鈴の音とともにテネブラエに何かが当たり、そして消えた。

 蓮が助けに来てくれた。そう思った矢先、優仁の目の前に現れたのは違う人物だった。


「しょ、翔?」


 真ん中で前髪を分けて、眼鏡をかけた少年、双葉翔(ふたばしょう)がそこにいた。優仁と翔は小学校の時から一緒だったが、特別仲の良い友人というわけではなかった。


「優仁?おまえ、なんで。それより、あんな低級のテネブラエ相手に何してんだよ」


 よく見ると翔の両足に隠れるようにこちらを見る子どもが二人いた。女の子の双子のようだった。


「でも、この空間にいるということはおまえも契約者なんだよな。悪いな、優仁。俺にも叶えたい願いがあるんだ」


 双子が突然、優仁に向かって走ってきた。手にはナイフを持っている。ナイフの刃が優仁を襲う。しかし、それは水の壁によって防がれた。


「蓮!それにクリスティーヌ!」


 優仁と翔の間に割って入るように蓮が立っていた。


「双葉、おまえも契約者だったのか。俺は無益な戦いはしたくないんだ。ここは手を引いてくれないか?」


「はっ、無益だと?ライバルが減った方が勝利に近づくだろう、水城。これは有益な戦いだ」


 二人は睨み合った。


「知り合いだからって、容赦はしない」


 そして星霊同士の戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ