第6話 ティーパーティー
目を開けると蓮は長方形の長いテーブルの端に置かれた椅子に座っていた。テーブルにはたくさんのお菓子が置かれていた。周囲は木々や花々に埋め尽くされていた。
「一体何が起きている。優仁の星霊が現れないなんて、今まで一度もなかったぞ。なあ、おまえは何か知っているんじゃないか、チェシャ!」
蓮は叫んだ。すると木の上に少年が現れた。白髪に紫色の瞳、猫のような耳と尻尾を付け、中世ヨーロッパの貴族のような格好をしていた。チェシャと呼ばれた少年は笑った。
「あはは。ボクは何も知らないよ?言っただろう。ボクは観測者であり傍観者だって。君たちの行く末をただ見ているだけさ」
「優仁の星霊が現れないだけじゃない。あの時、仮面の少女とともにいた星霊こそ、優仁の星霊"レオ"だった」
「ああ。いたね、そういえば。仮面の少女、長いから"アリス"と呼ぼうか。で、あのアリスも107回のループの中ではいなかったね」
蓮は頭を抱え込んだ。
「あと少しだったんだ。あと少しで優仁を救えたはずだったのに。なんで、今回のループはこんなに違うんだよ!」
チェシャは枝の上で横になりながらケラケラ笑った。
「あはは。あと少し?ボクには毎回同じエンドのようにしか見えなかったけどね」
チェシャは木から飛び降り蓮のそばにやってきた。
「まあ、この108回目のループがどうなるか楽しみで仕方ないよ。レンくん♩」
蓮はチェシャを睨んだ。
「わかっている。俺は優仁と優菜を救うためなら何だってする。そう決めたんだ」