第32話 羊は永遠の眠りに付く④
部活が終わるとすぐに蓮は教室を飛び出した。天秤座との戦いから1週間が経過した。今日、蓮はある人物と戦うことになる。
108回のループはまるで違うセカイのようだ。ならば、今度こそあの人を助けることができるかもしれない。
蓮は学校近くの公園に向かった。公園のベンチに座る青年を見つけた。青年もまた蓮を見た。
ステラフィールドが展開された。
この戦いは蓮は優仁と一緒ではなかった。
「いくぞ、クリスティーヌ」
水の壁を作りながら、クリスティーヌは姿を現した。
そして、相手の星霊も現れた。フードを被った少年の姿をした星霊の周囲には羊が何匹もいたので、まるで羊飼いのようだった。
「おそらく、相手は牡羊座だ。牡羊座の星霊は温厚なものが多いと聞いていたのだがな」
「いくよ。ルミエール」
ルミエールと呼ばれた星霊は手に持った杖を振り上げた。すると、何十匹という羊が姿を現し、クリスティーヌに向かって来た。
クリスティーヌは大量の水を生成し、津波のごとく襲いかかる羊たちに放った。
しかし、羊たちは体毛を膨らませ、大きな壁を作りクリスティーヌの水の攻撃を防いだ。
今度は羊たちが体を丸め回転させるように突進してきた。クリスティーヌは水を飛ばし、攻撃をするがすべてかわされてしまう。
お互い目の前の敵に集中していた。その時だった。青年の背後から大きな口を開けた魚なような生物、おそらく魚座の星霊が襲いかかってきた。
そして、青年は首を噛みちぎられた。




