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第22話 ループ
最悪の結末を防ぐために蓮は願った。いや、誓った。必ずハートの女王の願いを止め、優仁を助けると。
あの時、星霊王でさえ戻せる時間は星霊戦争の始まり、つまりハートの女王がパンドラの箱を持ち出した時からだった。
そして記憶を保てるのは蓮だけだった。味方はいない。信じられるのは自分だけ。
それでも蓮は戦い続けた。その度に何度も絶望した。ずっと一緒にいながら優仁を救うことのできない自分に、何度も嫌気がさした。
ループが2桁を超えたとき、諦めたくなる自分もいた。もう何も救えない。救うことができる未来なんてないのではないかと。
「君はよくやるね。もしかしたらこれは運命なのかもしれないよ?まあ、運命を変えることができるのが人間の面白いところなんだけどね」
チェシャは言った。蓮はこの言葉を忘れなかった。
何度も繰り返すループの中で最後の結末は一緒でも、途中の戦いや人々の会話に多少なりとも違いがあった。
だから、これは運命なんかではないのだと思いたかった。そう、信じたかった。




