第13話 蠍座の女②
いくつもの砂嵐がクリスティーヌを襲う。その度にクリスティーヌの水の壁が防いだ。
「今度はこっちの番だ」
クリスティーヌが手を振り上げると、大量の水が津波の如く砂嵐が来た方向へ向かっていく。
しかし、水は何かに当たり、弾かれた。クリスティーヌは再度、大量の水を放った。手には水でできた剣を持ち、そのまま消えた。
水は弾れ、同時に何かが光った。
「見つけたぞ、蠍座」
剣を持ったクリスティーヌと対峙している姿が見えた。褐色の肌に赤い髪、魔法のランプの世界に登場しそうな服装をした女性だった。
「水瓶座ですね」
二人は剣で競った。時折、お互いの魔法のような力で水や砂嵐が放たれたりしていた。
その様子を砂嵐の中で見ていた女性がいた。蓮や優仁がクリスティーヌの水の壁で守られているように、蠍座の砂嵐で契約者は守られていたのだ。
蠍座の契約者、砂羽美姫は焦っていた。相手は高校生、しかも片方からは星霊の気配が微弱しか感じないのだから、勝算があると思っていた。
しかし、相手は予想以上に強かった。勝負を挑んだ以上、勝ちか負けしかない。負ければ願いを叶えらてもらえなくなる。
「私の夢のために、負けるわけにはいかいない」
彼女にもまた叶えたい願いがある。




