第12話 蠍座の女①
翔との戦いから2日が経ち、月曜日になった。今日は午後から学校全体で芸術鑑賞をすることになっていた。街にある劇場を貸し切り、演劇を観るのだ。
「楽しみだね」
「生で演劇観るの初めてだわ」
多くの生徒は今日の芸術鑑賞を楽しみにしていた。しかし、優仁は楽しむ気分になれなかった。あれからテネブラエに襲われることも、他の星霊に襲われることもなかったが、常に不安でいっぱいだった。
「そんな顔するなよ。今日の芸術鑑賞は年に1回なんだからさ、楽しめよ」
蓮は優仁の肩を叩いた。この状況でどう楽しめと?いつ襲われるかもしれないんだぞ?せめて、星霊がいてくれればよかったのに。
席に着き、会場が暗くなった。その瞬間、会場は夜空に包まれた。ステラフィールドだということは優仁にはもうわかっていた。
「落ち着け、優仁。俺から離れるなよ」
優仁の隣には蓮がいた。蓮はスマホを操作し、クリスティーヌを呼び出した。
また僕は守られなければいけないのか。優仁はアプリを起動したが何も反応はなかった。
「寒っ...」
急に気温が下がり、真冬のような寒さになった。そして砂吹きが舞い始めた。
「砂嵐?」
巨大な砂嵐が襲ってきた。すぐにクリスティーヌが水の壁を作り防いだ。
「砂か...。おそらく、蠍座だろう」




