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ワールドノイズ  作者: 優希
出会い/動き出す物語
5/25

第四話:氷堂李翠/硬さの人

「て、て、適合者!!」

目の前でそう叫ぶ女の人にびっくりしながら、僕は何故こんな事になったのかを必死に思い出していた。

……………………………………………………………


「李翠〜朝よ〜」

母の呼ぶ声が聞こえる。時間は7:00、大丈夫、全然間に合う。着替えてからリビングに行く

「おはよう」

「おはよう李翠、朝ごはん出来てるから食べな」

「うん、ありがと」

朝が苦手な僕の為に早めに朝ごはんを用意してくれている母にはとても感謝してる。

「いただきます」

美味しい、母の作る料理はいつも最高だ。

ちなみに献立は、ご飯、味噌汁、鮭の塩焼きだ

「っん、ごちそうさま」

「ほら、今日実習でしょ?はい、実習服」

「そうだった、ありがとう、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

まだバスには間に合う、ゆっくり歩いていっても大丈夫だろう。

「よっす!李翠!」

「あ、慶也くん、おはよう」

「お前…いい加減呼び捨てでいいって言ってんだろうが」

この人は城戸慶也くん。同じ先端技術科で、高一の時からの仲だ。人付き合いが苦手な僕の多くない友達の一人であり、ゲーム仲間でもある

「今日実習か〜何やんだっけかな〜」

「僕がプログラミングだから、パーツ加工じゃない?」

「あ、そっか、しゃ!担当中谷じゃん!」

「中谷先生か〜いいな〜、ってあれバスじゃない?」

「やっべ!李翠走るぞ!」

「え?ちょっと待っ………」

早い早い!流石バスケ部エース…

「セーフ!」

「なんとか乗れたね」

「いや〜これ逃すと次15分後だからな〜」

バスに乗ってしばらくすると慶也くんが言ってきた

「なぁ李翠、あの赤い髪の子可愛くね?」

「あぁ、うん、そうだね」

「お前…もう少し恋愛や人に興味持てって」


……………………………………………………………


5分ほどバスに乗ると学校に着く。

教室に入ると既に半数程の人が実習服に着替えていた。

「ったく、半日丸々実習はダルいわ〜」

「まぁ、でも今日が終われば土日だし」

「それもそうか」

「出席取るぞ〜」

「あ、芝川来た」

担任の先生が来たので慶也くんは席に戻っていった。

朝のショートホームルームが終わり、各自が実習場所に向かう

「てか一昨日また地震あったよな〜」

「うん、一週間前にもあったし怖いよね」

「ま、サイバーワークスがなんとかしてくれるでしょ、あ〜サイバーワークスに就職したら将来安泰だろうな〜」

「あそこ、大卒しかとってないらしいよ」

「マジか…大学行こうかな〜。あ、俺ここだわ、じゃあまた後でな」

「うん、また後で」

さ、僕も行こう


……………………………………………………………


放課後、僕らはこのあとの予定について話していた

「今日何時からやる?」

「僕は何時からでも大丈夫だよ、慶也くんは?」

「俺は部活あるからな〜8時ぐらいならイケる」

「分かった、集会立ち上げておくよ」

「サンキュ、じゃ、部活行ってくるわ!」

部活へ向かう慶也くんを見送って僕も家へ向かう。

「明日からイベント始まるし、特効持ち育てておくか…ん?」

目の端に、不意に何かが映り込む。

(なんだろう、宝石?)

李翠はそれを手に取り、じっと眺める。

「やっぱり宝石だ…緑だしエメラルドかな?」

でもサイズがすごく大きい、きっとすごく高いんだろう…でも…なんだろう…普通じゃない気がする

僕は気付いたらその宝石をポケットにしまっていた。今思えばこの時既に僕は呼ばれていたのかもしれない。


夕飯を軽く済ませ、パソコンを立ち上げる。

すると画面には北部で高潮の可能性有と出ていた

「またか…」

ロストデイから5年経った頃から、世界では災害が止まない。まるで世界が壊れたみたいだ

ゲーム画面にメッセージが表示される、

『李翠!準備出来たぞ!』

あ、慶也くんからだ、

『分かった、始めよう』

今夜は夜ふかし決定だな…


……………………………………………………………


「ふっ、ふぁ〜〜〜〜」

良く寝た。今が、え〜っと9:00だから6時間は寝れたな、結局寝るのが今日になってしまった

「そういえば…」

僕は机の上にある宝石を手に取った

(結局何なんだろう?)

そう思った瞬間、宝石が眩く輝き出した

「え?何がどうなってんの?」

部屋全体が強い光に包まれる、その光はやがて一本の線になり、一方を指していた。

「行けってことなのかな…」

正直、気は進まない。でも光り続けるのも不便だし…

「しょうがない、行くか」

服を着替え、出掛ける支度をする

「ちょっと出掛けてくる」

「あら、行ってらっしゃい」

光は真っ直ぐ一方を指し続けている。


………数十分後……………………………………………………


「はぁ…はぁ…何処まで行くんだよ…」

まだ光の指す場所は見つかっていない、そもそもどこかに繋がっているのかすら分からない

すると、ザァァァァンと音が聞こえた

「ん?何だ?」

よく聞くと光の指す方から物音がする、しかも凄い音だ。

「もしかして!」

音のする場所が光の指す場所かもしれない!

僕は、その方向へと走った、すると予想通り、光は消えた、だが目の前に広がる光景のせいでそんな事を確認してはいられなかった

(何だ…あれ…水の…化物?)

凄い大きさだ…RPGならボスクラスだろうな…

なんて見ていると何やら化物の真ん中が弾け、ただの水になっていく。

(何だったんだろう、でも光も消えたし、面倒な事になる前に帰ろう!)

そう思っていたのに………

「てっ、てっ、適合者!!」

気が付いたら目の前に人が立っていて、僕は驚きのあまり尻もちをついた。


……………………………………………………………


「ホンッットゴメン!驚かせるつもりなくて…」

「いやほんともう大丈夫ですから…」

さっきからずっとそう言ってるのにこの人は止めてくれない、あの後僕はこの人たちに

「あたし達はRASE、悪いんだけど一緒に来てくれる?」

と言われ、そのまま流されるようにここ、サイバーワークスの地下エリアに来た。

「紅っち、もう大丈夫だって〜」

「あまり言い過ぎるのも逆に良くありませんよ?」

「そ、そうだよね…ごめんね…」

どんだけ謝るんだ…良い人なんだろうな…

「いや〜済まない済まない、遅くなってしまったね。君が新しい適合者だね?ストーンは…緑、硬さだね」

「あ、はい。氷堂李翠です」

「そうか、私はアンナ、この組織の長官だ。早速なんだが氷堂くん、我々RASEに入ってはくれないか?」

この組織については長官さんを待っている間に聞いていた。ディザーズと言う怪物と戦うこと、僕がマテリアストーンに選ばれた適合者だということ、そして、マテリアストーンに選ばれるのは一人だということ、でも……

「すみません、僕には出来ません」

そんな事、僕には無理だ。適合者が一人ということは、僕がやらない場合、このストーンの適合者はいなくなるのだろう、そう考えると悪いような気がした。

「分かった、だがもう少し考えてみてはくれないか?」

「………分かりました、後一日、考えてみます」

すると

「そうか」

と言って、長官さんは出ていった。

まぁ、やる気は無いんだけれど…明日にでもちゃんと断ろう…

「ちょっと待ったぁ!」

「うぁ!」

黄色い髪の人が叫んだ

「え?え?何で帰ろうとしてるの!折角見つけた四人目を逃がすわけないでしょ!?」

ガシッ!と肩を掴まれた。訳がわからない。

すると茶髪の背の高い人が耳打ちしてきた

「すみません、黃衣はああなると手がつけられなくて…少しお付き合い願えますか?」

黄色の子が放しそうもないので、僕は仕方なく従うことにした。

……………………………………………………………


「で!何で入りたくないの!?」

「な、なんでって…」

うぅ…押しが強い…苦手なタイプだ…

「まぁまぁ、黃衣も悩んでいたでしょう?」

「そ、そうだけど、で、でもうちは入る気満々だったし!」

「はいはい、そうですね」

茶髪の人が明らかに流した、慣れてるな…

「自己紹介がまだでしたね、私は笹狩煎慈といいます。こちらが幼羽黃衣、そして霧宮紅香です」

茶髪の人…煎慈さんが、紹介してくれた。

「それで、李翠さん、何故入りたくないのか、理由を言っていただいてもよろしいでしょうか?」

この人達…意地でも僕を仲間にしたいんだな…

そりゃそうか、あんなのと三人で戦うなんて大変だ…

「ぼ、僕は皆さんのように運動神経も良くありませんし、知識もありません。きっと足手まといになります」

「……そうですか…ですが…」

ガタン!

思わず席を立ってしまった

「と、とにかくRASEに入る気はありません!それに…」

しまった…思わず口走ってしまった。

僕はそのまま走り出し、その場を離れた。

……………

「何なのあいつ!!!!」

「あ、あたし追いかけてくる!」

あの子…最後に何か言おうとしてた…それが聞ければ…

「分かりました、連絡は取れるようにしておいてください」

「分かってるって」

あたしは李翠の向かった方向へと走った。

キャラ紹介

氷堂李翠

16歳

164cm

9月18日

父 氷堂 竜樹、母 氷堂 花楓

極度の人見知りで、上手く人と話せない、逆に友達になった人とはとても仲が良い。低身長と幼い顔のせいでよく女子に間違われる。ゲームが得意。


氷堂花楓

李翠の母、とても面倒見が良く、李翠が友達を連れてきた時は張り切ってケーキを焼くほど。それ故に空回りしてしまう事も。

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