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――とある日、教国で開かれた舞踏会にて。
舞踏会に参加をしていた数人が、ホールの端に集まって、まるで井戸端会議のように何かをひそひそと語り合っていた。
「なぁ、最近あの人、見たか?」
「教国のお偉いさんの領主様だろ……いったいどうしたんだろう」
人々が口々に噂をしていた。
それはオークション会場で目にされたのを最後に、消息の分からなくなった教国のお偉い様の貴族の話題だった。
「評判は良くないらしいから、よかったじゃないか。これで教国の教師様もご安心だろう」
「どうしてだ? 仮にも教国のお偉い様だろう?」
まるで思い出すのもうんざりだ、とでもいうかのようにその貴族はため息をついた。
「はぁ、そのお方。時折、子供のように臆病になることがあってな。噂では魔族に幻術をかけられたとか、子供を失ったショックだとか。そう言うのもあったらしい」
「難儀なことだ」
「それだけじゃない。まるで、居もしない子供がそこに居るかのように話しかけるらしい。実際に見たら怖いのなんの……」
「それは、なんとも言い難いですな」
「まったく、教国のお偉い様がそんな様子なら、教師様も信頼などしたくはないだろうて」
「違いない」
「しかし本当に、どこに行かれたのだろうか……」
「さあな。だが噂では――」
教国の、どこかの場所で開かれるオークション。
いつものように開かれるオークション会場で、一人の少女が虚ろに天井を眺めていた。
赤みが増えたような気がする、真っ赤なリボンの髪飾りをつけて。
リボンを付けた少女は、今日も天井を見続けていた。
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