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5時間目 公民館で出会ったのは幼稚園の先生

 小さい集落の中を自転車で走っていると、右側に平屋建ての小さい木造の建物が見えてきました。その建物の玄関を見ると、『安柄公民館』と『安柄集会所』の2つの看板があります。


「安柄公民館となっているから、ここでいいのかな?」


 自転車置き場に乗ってきた自転車を置くと、5人は公民館の玄関の前へきました。小さい集落とあって、公民館と町内会の集会所を1つの建物にまとめています。


 すると、1人の女性が子供たちのそばへやってきました。短い髪をなびかせたその女性は、まるでわが子のように見つめています。


「わあっ! こんなところでみんなに会えるなんて」

「牧絵先生! どうしてここにいるの?」


 みんなの前に現れたのは、幼稚園の先生だった津野牧絵つのまきえです。5人は、小学校のとなりにある山繁北幼稚園に通っていたときにお世話になっています。


 体が大きくなった子供たちを見て、牧絵は喜びもひとしおです。牧絵は、みんなが幼稚園児だったときの思い出を話し始めました。


「みんなが幼稚園にきていたときのこと、先生はまだ覚えているわ。だって、とってもやんちゃでかわいかったんだもの」


 和登たちは、幼稚園のころからずっといっしょです。そんな5人を、牧絵はいつもやさしく接していました。中でも、牧絵が一番気にかけていたのは和登のことです。


「給食にニンジンが出るといつも残していたのはだれかなあ?」

「ニンジンぐらい、ちゃんと食べれるようになったから!」


 幼稚園でのニンジン嫌いのことを指摘されて、和登はムキになっています。でも、牧絵による和登への指摘はそれだけではありません。


「それに、和登くんは幼稚園でお昼寝から起きたときにいつも……」

「わわわっ! そ、それだけは……」


 和登はあわてながら、その指摘から必死に話をそらそうとしています。その様子を見て、牧絵は話題を変えることにしました。


「それはそうと、どうしてここまでやってきたのかな? 小学校からここまでくるのに時間がかかったんでしょ」

「ま、まあ……。坂道を自転車で上がるのがきつかったけど……」


 牧絵の言葉に和登が返答している途中、陽が牧絵に4枚の紙切れと自分のノートを手渡しました。


「この4枚の紙切れに書かれていたキーワードを解いたら、こんな答えになったけど」


 牧絵は、陽のノートに書かれた内容をこの目でながめています。そして、そのノートを閉じると陽の右肩に手を置きました。


「よくここまでたどりつくことができたね。この公民館の裏庭に、幼稚園卒園のときにうめたタイムカプセルがあるの」


 紙切れに書かれていたのは、タイムカプセルのある場所を示すキーワードです。和登たちはタイムカプセルのことは覚えていても、それがどうしてこの公民館にうめられたのかはさっぱり分かりません。

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